せっかく恥ずかしさを偲んで言ってくれた娘に恥をかかせてはいけないと言う想いから少し大袈裟に喜んで見せると、もうその話はいいからと叱られてしまいました。
そして真顔になると聞いたんです。
「パパ、ずっと前に言ったでしょ?」と、何かと聞き返すとママにそっくりだと言ったことがあって、それは本当かと言うんです。
それは本当なんです。目元、鼻、唇も、富士額の髪の生え際まで似ているんです。どこが似ているかを全部言って聞かせました。
黙ったまま最後まで聞いていた娘がなんと目に見る見る涙をためるとポロポロと溢れさせたんです。
困ってしまったパパに「ゴメンなさい」と謝って微笑んだ娘が一言呟いた言葉が今の二人の関係の発端となったのでした。
「パパ、私にママになってほしいの?」と、
星になって居なくなってしまったママをどんなにパパが愛していたか、そしてそのママにそっくりな自分をママの代わりに求めているのかを確かめた娘。
「もう少し大きくなったらマジでママが生き返ったみたいになるんだろうな……パパ待ち遠しいよ」
そう言うと両手の指で涙を拭きながら、すぐになってあげるからねと言う娘にティッシュペーパーを手渡そうとしました。
顔を私の方に突き出した娘が「ママなら拭いてくれたんでしょ?」と、
肩を抱き寄せて娘の頬を拭いていると素敵な唇をしていることに改めて気づき、眺めていると、
「してもいいよ」とその唇が声に出さず、口パクで動きました。
その驚くほどの柔らかな唇を重ねると本当に妻が蘇ってきたような錯覚に落ちていた私でした。
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