行ってみたらなんと!偶然とは恐ろしいもので二人に出会ってしまい、境内のなかでついに想いを果たしてしまった!
なんてアホらしいオチにするつもりは無かったけど、まあ、それに近いホラーと言えなくもない出来事があったんだよ。
到着までナビ予想の倍以上の時間がかかったのは桜とお天気の良さのせいだな。
行ってみて気がついたんだけど御社に見合った狭い境内には立派な桜の木があったんだよね。
今回はお礼参りだったので賽銭も奮発して千円札を1枚入れ、作法に従って挨拶をしたあと手を合わせてここで起きた幸せなひと時のお礼と、二人の少女の幸せを願った。
するとさ、俺の車の後ろに軽トラが停まったの。運転席から降りてきたのは30代半ば位の消防団の制服を着た男性で俺と目が合うとお辞儀をされたんだ。
俺もお辞儀をして俺の車が邪魔かと聞いたら構わないと言う。
消防団の小屋のシャッターをガラガラと開けると中に入り、いくつかの道具を出して軽トラに積み始めたんだ。
やはり俺の車が邪魔かとおもって移動しようと石段を降りている時気がついた。
軽トラの助手席に女の子が乗ってたんだ。
髪型は違ってたけど、紛れもなく思い焦がれ、何十回もオカズにしたユリカだったんだ。本気で神様の存在を信じた瞬間さ。
フロントガラス越しに目を合わせて固まる俺が明らかにあの時の男だと気づいてる表情だった。
パパらしき男性を振り返って見ると小屋の中で背を向けている。
ユリカの方に向きなおり手を振ってみたら、なんと奇跡がおきたんだよ。
笑顔は無かったけど小さな手を振り返してくれたんだ。
パパがまた何かの物を持って出てきて荷台に積んでいる時に声をかけてみた。
「お嬢さんですか?」と。
頷いてそうだと答えたので「可愛いですね」と言うとユリカに向かって「この人、オマエが可愛いってよ」と声をかけた。
ユリカが初めて口元を緩め、照れたように微笑んだんだ。
桜の花の百倍も千倍も可愛い百合の花が俺に微笑んでくれたのさ。
パパが小屋のシャッターを下ろし鍵を掛けて軽トラの運転席に乗り込むと俺に会釈をした。
俺も会釈を返したあと百合の花に微笑みかけてもう一度手を振ると、素晴らしい微笑みを見せてくれながら小さな手を恥ずかしそうに振ってくれたんだ。
人生、最良の日だと思った。
軽トラが見えなくなるまで見送ったあと、もう一度礼をして鳥居をくぐるとガラガラを鳴らし、柏手を打って感謝を声に出して伝えたよ。
「本当にありがとうございました」
何年生かまた訊きそびれたと思い出して一人でニヤニヤしながらボロボロの小さな御社を後にしたんだ。
エロなしの終わりで申しわけないけど、俺は今、幸せな気持ちでいっぱいなんだわ。
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