そんな若狭妙子に私がチョッカイ出したのは確か2年の秋。
もうそろそろプールに入るには辛くなる時期、もう数える程の練習で陸練に切り替わるぞ、と言うある日。
更衣室で着替えていると用具室と仕切りを隔てた隣の女子更衣室の扉がガラガラっと開け締めする音がした。
下級生の女子は居ない。春に入部した三人は早々に退部した。だから、今、女子更衣室に入ったのは若狭妙子だろう。
その時、私の悪い虫が疼いた。女子更衣室との仕切りは2m弱(多分、規制品のベニヤ板のサイズ1820cm)で、間に用具室があれど、登れば女子更衣室が簡単に見渡せる。
だから、普通の体育の授業でも覗きにチャレンジする思春期男子は数知れず。おまけに用具室奥には男女共にトイレがある。用具室の間口に合わせて造ってあるから、予備空間から外壁に向かいドア無し小便器のみ。女子更衣室のトイレは和式のボットン便所。
当然、女子トイレにはドアはあったのだが、当時の男子の間では『女子トイレも入口にドアが無い』と伝説が広まり、仕切り壁には彫刻刀などで掘った穴が幾つもあった。
だが、誰も女子の着替えや裸を、その穴から見た男子は(多分)いない。
理由は簡単だ。男女共にトイレ横の入口を入ると下足入れのカウンターがある。普通に、男女共に靴を脱いで部屋に上がるので、トイレ前の壁の穴から女子の着替えが拝めるハズがない。
後に(水泳部員の特権)女子更衣室に入ったが女子更衣室側の壁には歴代男子が開けた穴にガムテープや薄ベニヤ板で目張りの補修が成されていた。
男子更衣室側の壁には小さな穴から足で蹴破る勢いの大きな破損箇所もあったが、女子更衣室の壁の防御っぷりをみると中学男子の情けなさが浮き彫りになる。
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