突然の警報音に驚いた少女はその場に立ち止まって周りをキョロキョロと見回します。
私は「お客さん、ちょっとすいません」と声をかけ少女と入口の間に立ちました。
「警報なっちゃったんで確認させてもらえますか?」
「多分誤作動だと思いますんで、時間はかかりませんよ」
不安そうな少女を事務所に案内します。
少女の服装はハーフパンツにTシャツという軽装に小さいリュック。仕込みは少女のカバンにしてありますがあえてそこは後回しにして布石を置きます。
「家の鍵とかゲーム機で誤作動しちゃうことがあるんで気を悪くしないでね。一応ポケットの中にある物を出してもらっていい?」
本当はそんなもので反応することはない装置ですが少女の知識ではそんなのわかりません。恐る恐るポケットの中に入ってたティッシュとハンカチを出して事務所の机に置きます。
「ポケットの中に何もなければならないはずだから」と少女だけを装置の間に案内すると警報は無反応。「やっぱり誤作動かな、心配させてゴメンね」と少女を事務所に戻し荷物を持たせて入口に案内するとまた警報音が鳴る。
「・・・カバンに何か入ってるのかな?見せてもらうことできる?」
少女はカバンを開けて中身を出します。・・・とその中に本が一冊。
「これ、キミの?」
少女は首を横に振り否定します。出てきた本は18禁のエロ漫画。未成年が持ってるには相応しくないもの。
「これウチと同じ包装だね?」シュリンクと呼ばれるビニルの包装がされたそれは元々事務所にあった在庫をコッソリ少女のリュックに滑り込ませた代物。中には防犯用のタグも付けてあり、そのまま警報装置の間を通れば警報音が鳴っちゃうのです。
「もう一度事務所にいい?」と少女を事務所に案内します。もう少女は顔面蒼白です。
ウチの包装がされた本がカバンから出てきた。
会計はされてない。
自分のものでないというならナゼ少女のバッグから出てきたのか?
という事を話しても少女は黙り込んだまま。
当然でしょう。
彼女からすれば本当に身に覚えの無いことなのですから。
そこで、ひとつひとつ説明をしました。
お店の売り物がキミのカバンから出てきた。
ウチのものじゃ無いとしてもこれは18歳にならないと読んじゃダメな本。
出処がわからなければ学校の先生とか警察の方になら来てもらって確認してもらう必要がある。
そうなると先生や警察から親にも連絡が行く。
万引きじゃないとしてもこんな本を女の子、それも未成年が持ってるというのはマズイのでは?
少女は涙を流し始めプルプルと震え始めました。
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