帰還するボートの上
七海に聞こえないように小声の内緒話。
「あのさ…紗知…」
『な~に?』
「助けてくれてありがと。あとさ…皆にちんちん刺されたのは言わないでよ?」
『ん、解ってるよ。』
「ホントに解ってる?バレたら恥ずかしくて来年帰ってこれなくなるよ……」
『解ってるって!』
「ホントに二人の秘密ね!お願いします…」
『あのね…紗知もちんちん吸ったなんか恥ずかしくて誰にも言えないよ…?だから内緒にするって。』
「約束してね!」
こうして、来年度の帰郷が若干約束された。バレて地元紙に載る恐怖と、来年の楽しみがせめぎ会う刺激的な一年間がまた私に訪れる…
かなりの疲労と安堵感に包まれ、三人を乗せたボートは浜辺へ到着。
次の順番を待つ男児たちの先頭で微妙な表情で私を見つめる娘がいる。早苗だ。
長女であり、紗知より1つ歳上な早苗はエセ紳士な私に連れられ岩場の影へ姿を消した姉妹の心配をしていたのだ。
じろっ
という感じの疑惑の目線を私に向ける早苗。
美少女の睨みにひるみ、動揺を隠せない私はボートから七海と紗知を抱え降ろした。
早苗『大丈夫?』
紗知『なにが?大丈夫よ?』
七海『楽しかったよ~!』
早苗はまた鋭い目線を私に向ける…
『私まだ沖で泳いでないの…もう一回連れてって!』
男児諸君はその迫力に反対できずにいた。
ボートに自ら飛びつきよじ登り、早苗は『行って!』とほぼ命令口調で私に指示を出した。
指示に従い沖へ向かう。ある程度砂浜から離れたところまで漕ぎ進める。さあ恐怖の尋問タイムが訪れると、人様より多少すくない脳ミソをフル回転させて言い訳を考えている私に対し予想外の言葉を発する早苗。
『岩場に行って……』
ここから、完全に予想の範疇を超えた、素敵なお姉さんっぷりを早苗は見せてくれた。
続く
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