「いや。警察沙汰にしなかった事にも感謝してる。」
〇さんはそう言って私に缶コーヒーを渡しながら、うるさい店内で辛うじて聞こえる声で耳打ちしてきました。
「アヤの事なんだが…。」
『あ…すいません。俺イビりすぎました?(汗)』
「いや…あの娘、何とかしてやってくれないか?」
『は?』
戸惑う私に、〇さんは続けます。
「何の因果かあんな奴と付き合ってたが、こっちに来るには良い娘過ぎてな…」
『はぁ…』
「今はアイツと別れたんだが、未だうちらに絡もうとしてくるんだ…」
『はぁ…』
「けんが面倒見てくれるなら、こっちで追い出すから。」
『付き合えと?』
「相変わらず飲み込み良いな(笑)」
(はぁ~。面倒は勘弁ですよ。)
この心の呟きが〇さんには聞こえた様で…。
「お前、最近くぅちゃんとボウリング来ないよなぁ?」
『…はい(汗)』
「あんな良い娘、逃がしたらしいじゃねぇか?」
『…はい(汗)』
「アヤも中学生だ。よろしくな(笑)」
『…はい(汗)』
〇さん…目が笑ってないッス…。
こうして〇さんのねじ込みによって、私はアヤと会うことに成りました。
3日後の夕方。〇さんの指定場所に行ったのですが、なかなかアヤを見つけられません。すると…。
「よ…よう…。」
『…誰…?』
「…アヤ…。」
『!?』
ガラッと変わったアヤが待っていました。髪は黒くなってベリーショートに成っており、通って居る学校の制服であろうセーラー服を、おそらく校則通りに着こなして居ました。
「…ジロジロ見んな…。」
『お?すまんすまん(笑)』
(こんな格好すれば普通の中学生なんだ。)
あの時は無理に化粧していたんでわかりませんでしたが、中1らしい幼い顔です。佐〇木舞ってとこでしょうか。くぅちゃんと比べると、背も高く、制服から見て取る身体の線もかなりのグラマーさんです。
その日は顔見せって感じでしたし時間も遅く、アヤも制服でしたから変な所を連れ回す事も出来ないので、お茶して買い物して家まで送って終わりました。
そんな関係を2ヶ月程続けて居ました。アヤも私に打ち解けたようで、学校の報告等も出てきました。友達も居るようですし、勉強もしっかりやっているようで、普通の中学生に戻ってきているのでしょう。
私は〇さんにそれらを報告しようとするのですが…。
「けんに任せたんだ。聞く必要ねえだろ?」
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