『アヤ、ありがとうな。お前に電話する時、そんなに疲れた声出してたんだな。心配させてスマナイ。でも、その事でくぅちゃんを責めるのは反則だ。俺がその事で愚痴った事あったか?』
「……ない…。」
収拾つくかな?
「…ごめんね…けんくん…くぅは大丈夫だから…今日は…ありがとう…。」
ダメだ…つかないわ…。
くぅちゃんはそう言って私に背中を向け、スタタと走って行ってしまった。
『くぅちゃん!』
「ア…アタシが追っかけ…。」
『アヤ!…良いよ…。』
「…でも!」
『…。』
「……ごめんなさい…。」
『いや…アヤはアヤなりに俺を心配してくれてたんだろ?他に意図が有ったらゆるさいないけどな。だから良いんだ。それに、アヤが追っかけたらややこしくなるだろ?』
「……うん…。」
『俺が追っかけなきゃいけないんだよ。アヤも帰りな。後で連絡するから。』
「……はい…。」
私はアヤにそう言い残して、くぅちゃんの後を追っかけました。
公園から少し離れた、田んぼの用水路の畔にしゃがみこんで居るくぅちゃんを発見したのは、それから30分位たってからでした。
『用水路埋まっちゃうから、石を投げ込まないでくれる?』
「あ!すい……けんくん…。」
私はくぅちゃんの後ろからそっと近づき、農家のオッチャンを装って声をかけました。
『よ!』
「今日は…帰りなよ…。」
『あれ?俺帰りたいなんて言ったっけ?』
「…。」
『ここだと焼けちゃうよ。どっか別のところ行こ?』
「…けんくん…。」
『ん?』
「なんで…くぅを選んでくれたの?」
『ふ~ん…言わなきゃダメ?』
「…うん。」
『くぅちゃんは俺を必要としてて、俺はそんなくぅちゃんを支えてあげたいから。』
「…だから…なんで支えてくれるの?くぅは確かにけんくんに側に居てほしい…。」
くぅちゃんは立ち上がり、私に向き直って続けます。
「でも…くぅの都合で呼び出してばかりで…アヤさんみたいにけんくんの事、考えてあげてなかった…。」
『…一回言われて気付けたんなら良いんじゃ無いの?』
「え?」
『アヤに突っ込まれて、俺の顔見て寝不足に気付けたんだから良いんだよ。』
「…。」
『何度も言うけど、くぅちゃんは今が一番辛い時でしょ?高校生に成ってからで良いから。』
「…。」
『…大学には行きたい?』
「…もう…勉強やだ…。」
『じゃあ…高校卒業したら…結婚しちゃうか?』
「…え?…」
『…(微笑)』
「……うん!」
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