続き
ゲームが始まった。作戦は決まっていた。
マキちゃんにパスが来たときにそれをカットする風に手を出して、唇を軽くタッチする。
けど、なかなかうまくいかない。マキちゃんは運動神経がよくて俊敏だ。目も真剣で遊びという感じじゃない。
正直、あきらめかけた。
その時、マキちゃんへのパスがきた。
頑張れば取れそうだったけど、あえて取れない振りをして弾いた。しかもマキちゃんの顔のほうへ。
そして最後のチャンスと手を伸ばす、けどマキちゃんの手が邪魔で顔にたどり着けない。手と手がぶつかってペンケースが変な方向に飛んでいった。これがラッキーだった。
二人でビーチフラッグを取るようにバランスを崩しながら手を伸ばしていた。
マキちゃんは必死にペンケースを追っている。目はペンケースしか見ていない。
僕はずっとマキちゃんを冷静に見ていた。メンバーからの死角になってるし今しかない。
僕は左手でペンケースを追いつつも、右手は倒れこむマキちゃんの顔の前に出しておいた。
そして二人でもつれるように倒れこんだ。僕の右手には肌に触れた感覚があった。
「マキちゃんの頬かな?」
そう思ったのでドサクサで右手を強めに押し当てた。その瞬間・・・
「!?」
心の中で僕は驚いた。そしてペンケースは僕の左手に収まっていた。
で、マキちゃんは
「痛ったぁ~い。なんかかずき君から顔面パンチ入ったんだけど」
笑いながら僕に言ってくる。
「あ・・・ぁ ごめんね偶然だから許して」
僕は偶然を強調し、動揺を悟られないようにした。
「じゃ、これで終わりにしようぜ」
そして圭介がしめて、この日は解散となった。
続く
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