校門を出ると数名の通行人に出くわしましたが、すでに日も暮れて
暗い路上では麻由美の異様な服装も人目を引くこともなく、
むしろ補習後に教師と生徒が睦まじく帰宅の途につく、微笑ましい
光景に映ったでしょう。
(あ、あぁ…この恥ずかしい格好に、もし私がこの学校の教師だと
知れたら、破滅だわ…)
そう思うから、麻由美は早く人目に触れない自宅へ帰りたい。
生徒に20万円もの大金を渡すことに激しく抵抗を覚えましたが、
コンビニの前でタケ様がアホ犬とかオナニー狂いと大声で話すのを通りがかり
の人に聞きとがめられるのを恐れて、易々と渡してしまったのです。
(お願い…もう帰らせて…うぅ…家でならどんなことでもしますから…)
麻由美の願いも虚しく、軍資金を手に入れたタケ様たちが真っ直ぐに麻由美の家に
向かうはずはありませんでした。
夕刻のショッピングモールは買い物客で賑わっています。
明らかに年下の少年3人に連れられ、不自然なコートの着こなしをしたアラサー女
は人目を引きます。
(こんな姿で生徒と一緒にいるのを知り合いに見られたらどうしよう…)
ペットショップに連れて行かれ、少なくとも知り合いに出会う可能性が僅かでも
減ったのに安堵したのもつかの間、タケ様は麻由美のコートの合わせ目に手をかけ、
前をはだけさせました。
お腹の辺りをボタン一つで留めていた上下が開きます。
ボタンの上はブラウスを着ているのが見て取れますが、ペットショップの明るい照明の下、
ノーブラなのが明々と分かってしまいます。
ボタンの下に至っては太腿はおろか下腹まで見え隠れし、スカートも下着も着けていない
のが誰の目にも分かります。
タケ様がそうした以上麻由美にはコートの乱れを正す自由はありません。
3人がそれぞれ別々の方向へ移動すると、置き去りにされた格好の麻由美は入口近くに
立ち尽くし、来店客の晒し者です。
(あん…あぁん…見ないで…)
この時間のペットショップは圧倒的に女性客やカップル客が多いです。
同性の嘲るような視線や聞こえよがしの中傷、数少ない男性客の卑猥な視線が容赦なく
浴びせられ、麻由美はブルブル震え、ただ俯き、顔を上げることも出来ません。
いつの間にかレジに向かったタケ様たちが麻由美を呼び寄せます。
それぞれが会計している商品が何に使われるのか、麻由美はすぐは理解出来ませんでした。
「こちらはお包みしましょうか?」
「首輪とリードは包まなくていいよ…
こいつ犬だから、ここで付けて行くよ…」
他人の前ではっきり犬と呼ばれました。
タケ様が麻由美の首に首輪とリードを付けます。
唖然とした表情の店員さん、そして入口で晒し者になっていた時から
麻由美に好奇心を抱いていたお客さんたちが息を呑んで麻由美が犬の
扱われるのを注目しています。
「犬、お前の仲間が沢山いるよ…
檻の前でチンチンポーズしてみなよ…」
タケ様の言葉に麻由美の身体は無意識に行動を起こしてしまいます。
(あぁ…だめ、だめよ…)
リードをタケ様に持たれたまま、麻由美は子犬が入れられた檻の横に歩み寄ります。
気持ちとは裏腹に、立った姿勢から腰を落とすと両手を胸の前に垂らします。
(犬なのね…)
手をぶらぶらと揺らし、自然と犬らしく舌を垂らし、フンフンと鼻を鳴らしてしまいます。
「おおっ…」と麻由美を取り巻くお客さんから小さなどよめきが起こります。
檻越しに足元で子犬がキャンキャン吠え始めます。
(うふん…メスの麻由美犬に興奮するなんて、この子はオスなのかしら…)
痺れ始めた意識の隅で麻由美はそんなことを考えていました。
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