「壁に何か見えちゃったりしてないですよね?」
ちょっとドキドキしてしまい、ふざけて言ってみた。
「ちょっと~ここまで来て怖い事言わないでよ~」
どうやら違うらしい。
「僕に何か着いてます?」
先輩は笑いながら別に着いてもいないし変な物も見てないよ!と返してきた。
「たけの顔見てた」
そう言われても何と答えて良いか解らずにアタフタしてしまった。
「何慌ててんのさ~!ちょっと意識しちゃってんの~?」
先輩はケラケラ笑いながら家にいた時の引き攣った顔からいつもの顔に戻っていた。
「いや~そんなんじゃないですけど~」
という感じで自分は顔が真っ赤になって行くのが解った。
「面白~い!散々怖い話しでヤラれたからな~」と仕返しとばかりに顔を覗き込んだりしていたが段々手を握ったり抱き着いて来たりとエスカレートして来た。
逃げる自分と追う先輩。
勿論本気で嫌ならこの小屋から飛び出せば良いのだが本心はちょっと嬉しかった。
調子に乗って自分も先輩の両手を取った。
見上げると以外と近くに先輩の顔があった。
その顔を見た時に花火をした時の姿が浮かんでしまい、その半開きの唇を見つめてしまった。
多分数秒間だと思うが変な雰囲気を感じてしまい、手を離そうと考えた時に先輩の顔が近づき唇が重なった。
一瞬だけだったが「あれっ!?何が起きた?」という感じだ。
「ありがとう…怖く無くなった」
先輩は唇を離すとそう呟いた。
月明かりに照らされ、先輩の顔とTシャツが眩しい位に感じた。
先輩は再び顔を近づけ、今度は長く、そして先輩の口から舌を差し込まれた。
恐る恐るだが長い間舌を絡めていた。
先輩が口を離すとどちらのか唾液が糸を引いた。
「フフッ」と口許の唾液を拭った後に先輩が恥ずかしそうに笑った。
「サービス!」
そう言っていたが自分は体が硬直したままだった。
「たけ?強く握り過ぎだよ~」
先輩が手をブラブラさせて初めて強く握っていた事に気付いた。
慌てて手を離し、すいません!と謝った。
「優しく…ね?握るの」
先輩は再び手を差し出し、今度は優しく手を握った。
「4時過ぎたら明るくなるよね?そしたら怖くないよね?」
先輩が思い出した様に言った。
「今が…3時半過ぎか…あと1時間どうする?」
頭はこの先を希望しているがどうしたら良いか…と迷った。
しようよ…顔を近づけ先輩が小さく囁く様に言った。
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