私達はすでに閉まった売店の陰で話しました。
そろそろ中学生の部が始まる時間だったので、皆は体操するフロアに集合しているから無人でした。
コーチは紙パックのジュースを奢ってくれました。
二人ともまだ水着で、至近距離で面と向かうと男性の水着姿は生々しい迫力みたいなものがありました。
しかも体は濡れていて、股関の膨らみが強調されてました。
なぜだかわかりませんが、私はこの時にふいにこの男性への見方が変わってしまった。
まるで意中の相手に告白でもするような気分になりました。
どう切り出すか少し躊躇っていると、コーチの視線が私の水着姿を意識してる気がして、それでなんとなく吹っ切れました。
時間もあまりないのはわかってたし。
「こないだ、妹といましたよね…偶然見ちゃって…」
ああ…はじめちゃったと思いました。
「ああいう風に辞めたあとでも生徒と会ったりするんですか?…偶然会ったようには見えなかったし…」
当然、ちょっと困った顔になりました。
それはどこまで話していいものなのかといった感じでした。
私は困らせたり脅かしたりやめさせようとしたりするつもりで言った訳ではありません。
だから、そこは早口で強調しました。
「誰にも言ってない…妹にも言ってないし親にも…言うつもりもないし…ただ、疑問のままじゃ気になるというか…」
そこまで言うとコーチは決心がついたように言いました。
「うん、わかった…とりあえず黙っててくれたのはありがとう。君だけの胸のうちでおさめてくれるんだったら話す…」
もう練習が始まるし一言ですむ話でもないから、あらためて時間を取れるかきかれて、もちろん了承しました。
むしろそういう展開を待ってました。
私達は次の休日に会うことになりました。
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