でも体育教師石井の野郎は、真理恵先生を独り占めしたかったのかどうか、音楽教室のことをグチグチ言い始めたそうで、挙げ句の果てには外出すらままならないことになって、これではやっていけないと、石井の元を飛び出し離婚したそうです。
結婚生活は二年にも及ばなかったそうです。
実家と音楽教室を行き来するだけの生活、このままではダメだ、そう思って参加したのが、お見合いパーティーというわけでした。
俺の方は、ただ先輩に無理矢理付き合わされただけ、真理恵先生はそれを笑ってくれました。
昔の話に花が咲き、パーティーが終わる時間になりました。
先輩は撃沈なようで、でも俺を気遣ってか、一声俺にかけてから帰っていきました。
『先生、このあとは?』
自然と俺、話してました。
『何もないよ?』
『じゃあ、飲みにいかない?』
気さくな笑顔で真理恵先生、うん、そう言ってくれました。
数回行ったことがあるバー、背が小さくて可愛い真理恵先生、その容姿に似合わず、かなりお酒は強豪でした。
すいすい飲んでは昔話、結婚していた当時の愚痴、俺の方が先に潰れました。
真理恵先生の携帯が鳴る、どうやらお父さんかお母さんらしい。
『ごめん、もうこんな時間、帰らなきゃ』
ふらつく俺に対し、しっかりした真理恵先生でした。
『岡田君ち、どこ?』
タクシーを拾ってくれた真理恵先生に、住所を答えました。
すると真理恵先生もタクシーに乗り込んできました。
『〇〇経由で××にお願いします』
真理恵先生は俺の住所と自分の住所を運転手さんに伝え、タクシーは走り始めました。
そこまでは覚えてました。
でも次気づいたら、全く知らないとこで起きてました。
隣では真理恵先生が寝てるし、もう空は明るくなってました。
真理恵先生の家の部屋でした。
二日酔いで回らない頭、混乱してるとこに真理恵先生が起きました。
『大丈夫?かなりグロッキーだったから、面倒くさくなって家に連れてきちゃった』
ぼーっとする頭、下では何か音がしてて、真理恵先生は部屋を出て下に行きました。
するとなんと、真理恵先生と、お父さんが来ました。
『ご迷惑おかけしてすいません』
慌てる俺に、お父さんはにっこり。
『教え子さんだったそうで。うちの娘と飲み比べしたらダメですよ』
ペットボトルのお茶をご馳走になりました。
やがてお母さんも上がってきて、品のよさそうなご両親でした。
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