昔と言っても、そんな遥かな昔じゃなくても、ストーカーなんて言葉、誰も言わなかった。
好きな子を待ち伏せしたり、家の前まで行ってみるたり、こっそり誕生日を調べて恋占いするぐらいのことは、誰だってやってた青春の特権だった。と思う。
なので、キムラさんの行動を特別に非難しようとは思わないんだけど、とある日曜日に突然家に来た。
親と姉二人はデパートのバーゲン、高校の兄は部活で、僕だけが留守番だった。
「ヤスオカくん、遊ぼう」
玄関を開けたときの一言は、小学生の誘いかただった。
「いや、俺、留守番やから」
キムラさんはこっちを向いたまま、固まって、動かなかった。
二階の和室二間が兄弟姉妹四人の部屋だった。
長方形のコタツを冬以外は布団を掛けず、ヒーターも外してテーブルがわりに使っている。
結局、上がり込んだキムラさんが僕の隣に座っていた。
七分袖のブラウスに、フワッとしたフレアスカート。
フェミニンなファッションと言う言葉は当時は知らなかったけど、ちょっと大人びた感じで、制服姿しか知らない僕にとっては、新鮮に映った。
でも、スカートは中学生男子の欲求に挑戦するかのように、やたら短かった。
膝を崩すと、太めの脚なので、白く見える面積が広くて、どきっとする。
スカートの裾も充分に気になる。
大体、この子はなんでいきなり隣に座ってるんだ?
普通は向かい側に座るんじゃないのか?
でも、時々触れるキムラさんの肩が男子のゴツゴツした感じと違って、ふんわりと心地よく、つい僕の方からさりげなく当たったりしてしまった。
さて、そんな時間を過ごしていたが、よくよく考えても、僕たちに共通の話題は余りない。
そういえば、ふだんも挨拶ぐらいしか話しはしてなかった。
せっかく家まで来ていただいたが、休日に一緒にいても、いつものように無言だった。
「あの、ヤスオカくん」
「なに?」
「友達になってくれてありがとう」
「ああ」
どう返事していいかわからない。
「わたし、すごく嬉しかった」
「俺も、キムラさんと友達なれて嬉しいよ」
精一杯の気遣いの言葉にキムラさんは首を横に振った。
「ゴメンね、私、可愛くないから……」
話題が暗い。なんとなく息苦しくなった。
「そんなことないよ。キムラさん可愛いって」
元気付けるつもりだったが、キムラさんはどう思っただろう。
変な期待を持たせたのは、まずかったかなと思ったが、仕方ないことだ。
キムラさんは僕の隣で下を向いたまま肩を震わせた。
「キムラさん……」
泣いているのかと不安になって肩に手を置いてしまった。
「ヤスオカくん」
キムラさんが顔を上げた。
近すぎる位置に茶色いメガネフレームが迫った。
二重瞼だ。
初めて知った。
きれいな瞳が潤んでる。
目があって、キムラさんはきゅっと瞼を閉じた。
(あっ)
いきなり顔が近づいたと思ったら、キムラさんの唇が僕の唇にぶつかっていた。
憧れのファーストキスだ。
不意打ちのような強引なキスだったが、不覚にも柔らかな感触に感動してしまい、キムラさんの背中に腕を回してしまった。
キムラさんの体はふかふかして、ぬいぐるみのようだったが、腕に力を入れると、しっかりとした弾力が伝わってくる。
これぐらいの距離になると、もうキムラさんの容姿、容貌、体型はまったく気にならなくなる。
かえって、太目な分、女の子の柔らかさや温かさが強く感じられて、僕はつい夢中になってキムラさんの唇に吸い付いていた。
キムラさんの方は、僕の積極的反応に逆に驚いたのか、一瞬、顔を離そうとしたが、僕の口が追いかけたので、結局は抱き合う格好になった。
僕は、唇を合わせるだけのキスで興奮し始めていたが、しばらくしてキムラさんは舌を差し込んできた。
ぬるりとしたキムラさんの舌が、僕の舌先に触れたとたん、全身がゾクゾクする感覚があって、なんて大人なんだと、自分もありったけのエロ知識で対抗しなければと、理性的な制御が効かなくなってきてしまった。
僕の方も、舌を絡ませると、キムラさんは誘い込むように舌を引っ込めていく。
追いかけて、入り込んだキムラさんの口中は、甘く、熱かった。
口中で暴れるように舌を動かす。
いつの間にか、口の回りは二人の唾液でベトベトになった。
いま、積極的に押しているのは完全に僕の方だ。
キムラさんは、バランスを崩してパタッと仰向けに転がってしまった。
その拍子に、絡み合っていた舌と舌が糸を引いて離れた。
口が解放されて、キムラさんは音をたてて荒い呼吸をする。
まるで、プールの端から端まで息継ぎなしで泳いだ後のようだ。
僕はキムラさんに覆い被さるようにして、また唇に吸い付いた。
キスに酔っていたのもあるが、僕は次の手を思い付かなかったのだ。
断片的なエロ知識はあっても、こういう場面で次にどうすればいいのか分からなかった。
ただ、寝転んだキムラさんに体を寄せて、キスをするしかなかった。
すると、キムラさんの脚が動いて、偶然なのか僕の股間に擦りつけるように大腿が当たった。
それで、僕は下半身に意識が行くようになった。
僕のチンコはいつの間にかガチガチになっている。
キスの合間にちらっと下半身に眼をやると、キムラさんのスカートが不自然なほどに捲れて、下着が見えていた。
空色のパンツ。
ラブレターの封筒を思い出した。
僕が押し倒したようなこの状況では、ミニのフレアスカートは、その空色の布地を全く隠しきれていなかった。
キムラさんが脚を動かすと、空色の三角の合わせ目が揺れ動く。
僕は、そんな女の子の中心部に、おそるおそる手を伸ばした。
脚の付け根の三角地帯にちょんと指が触れると、キムラさんがぴくんと体に力を入れた。
キスを続けながら、僕はキムラさんのパンツを丁寧に丁寧に撫でた。
撫でるのは、こんもりと盛り上がった柔らかな丘からお尻に向かっての部分だ。
キムラさんはキスに応えながら、僕の手が動きやすいように、そっと脚を開いてくれた。
でも、すぐに下着の上からでは満足できなくなってきた。
キムラさんの肌に直接触れたい。
いや、そうじゃなかった。
クラスの女子のオメコを直に触りたい。
ただの男子の欲望だ。
僕は、一旦、指先を股の間から引き出すと、そっとパンツのウエストゴムとふっくらしたお腹との間に中指を滑り込ませていった。
キムラさんが、体を硬くしているのが分かる。
キスをしていた舌の動きが止まったのだ。
僕の指がスベスベしたお腹の上を脚の付け根に向かって移動するのを、全神経を集中させて感じているようだった。
僕の指が、盛り上がった丘の上から割れたような肌の合わせ目に到達すると、息を止めて体を震わせた。
何かに耐えているかのようだ。
僕の指は、汗ばんだ肌の合わせ目をなぞるようにお尻に向かって動いていく。
でも、合わせ目はしっかりと閉じて、まるで口をつぐんでいるようだった。
そこを、優しく何往復か撫でながら、さらに奥へと進んでいくと、ちょうど脚の付け根の真ん中あたり――少し窪んだようになった部分――で、指先にヌラリとした感触があって、するっと指先が割れ目の中に飲み込まれた。
とたんに、キムラさんが大きく息を吐いた。
一旦、湿り気を帯びた指先は、キムラさんの大事な部分を難なく、滑るように移動することができた。
この割れ目のどこかに、チンコのように敏感なお豆があるはずだった。
僕は、優しく探りながら、何とかそのクリトリスの存在を確認した。
柔らかな肉の間にあって、コロッとした小さな粒に感じたが、そこに触れると、キムラさんは捻るようにお尻を動かした。
キムラさんの割れ目は僕の指の動きに合わせるように、中から湧いてくる粘液があふれだし、僕の掌だけでなく、お尻やパンツも濡らしていく。
キムラさんが、せがむようにキスをして、舌を突っ込んできた。
僕がそれに応えてキスをしている間、キムラさんが、体を捻るようにして、僕の体の下敷きになっていた右腕を抜くと、ごそごそとパンツを脱いでしまった。
僕は、動きを制限していた空色の布がなくなったことで、もっと自由に手を動かせるようになった。
でも、パンツを脱いだ後、キムラさんは僕の頭を押さえるようにキスをしてくるので、パンツのなくなった下半身を見ることはできなかった。
いま、下を見ることができれば、そこにむき出しの女子のオメコがある。
そう思っただけで、チンコの突っ張りが一段と強くなる。
しかし、キムラさんのキスは長く続いた。
どれくらい、キスは続いただろうか。
僕の指先で、キムラさんの割れ目はもうぐしゃぐしゃになって、時折、痙攣したかのように脚を震わせる。
少しして、キムラさんは、ようやく唇を離し、左手で僕の頭を視線を逸らさせないように押さえて、薄く目を開けた。
「ヤスオカくん、わたし、ずっとヤスオカくんが好き」
喋ってる間も唇は触れあったままで、キムラさんの気持ちまで伝わってくるようだ。
きれいな二重の目の周りが熱があるように紅潮している。
何か言わなきゃと、思っていると、チンコに何かが触れるのを感じた。
気持ちを集中すると、キムラさんがズボンの上からチンコを撫でているようだった。
女の子が自分からチンコをさわりに来るとは信じられなかったが、確かに、勃起に沿って手を動かしている。
僕は、キムラさんから視線を逸らさないまま、片手で何とかズボンとブリーフを脱ぎ捨てて、キムラさんの掌に、カチカチのチンコを握らせた。
キムラさんの掌は、温かで、柔らかで、優しかった。
つい先月、オナニーを初体験した僕にとって、これはもういつ溢れてもおかしくない状態だった。
キムラさんは、掌のチンコを確かめるように、二、三度扱くような動作をして、僕にチュッと軽くキスをすると、泣きそうな顔でゆっくりと頷いた。
何を頷いたのか、頭の中では分からなかったが、僕も頷いてチュッとキスを返すと、体を起こしてキムラさんの開いた脚の間に体を置いた。
初めて、目にした女の子。
でも、ほとんど緊張で目に入らなかった。
僕はチンコをキムラさんの割れ目の中央にあてがった。
そこがたぶん、いままでエロ知識でしかなかった、オメコの穴に違いなかった。
チンコを突き出すと、ニュルッと亀頭までが割れ目に咥えられるように入り込む。
位置を合わせてから、キムラさんの顔を見ると、切なそうに頷いていた。
僕は、照準を固定したまま、前に倒れてキムラさんを抱きしめた。
「ヤスオカくん……」
耳元で、あえぐようなキムラさんの声。
「キムラさん……」
僕も、名前を呼んでいた。
「うん」
もう一度頷いたキムラさんが、僕の動きの合図になった。
初めてのセックス。
もうキムラさんの中心地は捕らえている。
後は、このチンコに力を込めて送り込むだけだ。
僕はチンコをほんの少し進めた。
「うっ! いたいっ!」
キムラさんの声に慌てて腰を引いた。
「大丈夫か?」
まだ、僕は全く入っていない。
「うん、大丈夫。ごめんね、一緒になろ」
「うん」
僕は、もう一度キムラさんにあてがった。
チンコの先端に伝わる、濡れたキムラさんの温もり。
チンコの先を摘まむような、狂おしい刺激
『一緒になろ』といった震えるような声。
これで、女の子と一緒になれる。
そう思っただけで、頭の中が真っ白になった。
ビクン!
「あっ」
キムラさんが小さく声を上げた。
僕は、キムラさんの入り口に、大量の精をぶちまけてしまった。
チンコからの放出は、何度も何度も繰り返され、次第に力を失っていった。
キムラさんも、何が起きたのか理解できてたみたいだった。
「あぁー……」
キムラさんは大きく溜息をついて、僕は強く抱きしめてくれた。
僕の漏らした精液があまりにも大量で、キムラさんは少し驚いていた。
キムラさんの体とスカート、それに僕の体や部屋の畳など、バレないように後始末するのが大変で、この日は二度目にチャレンジすることができなかった。
初体験はあえなく失敗に終わって、お互い童貞・処女のまま、もう少しだけエッチな触りっこをしてキムラさんは家族が戻る前に帰っていった。
それから、まもなくキムラさんは“家庭の事情”で遠方に引っ越し、転校してしまった。
僕たちに、結局二度目のチャンスはなかったわけだ。
最後の日、キムラさんから手紙をもらった。
いつの間にか下足箱に入っていた、空色の封筒。
『ヤスオカ タクヤくんへ
友達になれて本当に嬉しかった。
いつかまた逢えたら、そのときはちゃんと付き合ってください。
いつまでも忘れません。
キムラ コトミ』
「文学少女のくせに、なんやこの雑な手紙は」
キムラさんはこれ以上書けなかったんだろうな。
そして、僕もこれ以上は読めなかっただろう。
急に、彼女に会いたくなった。
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