部屋に入ると非常に恥ずかしそうな恵美が、白っぽいワンピース姿に、髪の毛もきちんとセットされた姿で立ってました。
顔の黒さが余計目立ちます。
『うおっ~~~!』
歓声が上がると、お父さんお母さんは大爆笑でした。
部屋には女の子らしい物はほとんどありません。
野球やサッカーのボールが散乱、バットにグローブ、そんな部屋にワンピース姿。
『馬子にも衣装でしょう?ほんとに』
大笑いのご両親、俺達も笑ってました。
でも俺達の反応は、ご両親とはちょっと違いました。
ワンピース姿もですが、恥ずかしがる恵美を見たことがないわけで、恵美もこんな一面あるんだと認識したんです。
『見るもん見たんだからいいだろ?もうじき時間だから帰れよ』
お、おお、ワリイ、おじゃましましたと帰りました。
帰りながら話しました。
『やっぱ一応女だったんだね』
『トイレだけ女子かと思ったよ』
『いやプールのとき一応水着着てるし』
ぶわはははと笑ってました。
そして小学校の卒業式、中学校の制服を着た恵美、クラス中の歓声の中心に恵美がいました。
俺達はとりあえず見たことがあるわけで、冷静でした。
卒業式では恵美は涙を浮かべていました。
『泣いてるよ、あいつ』
『あいつにも涙なんてあったんだな』
など好き勝手なことを言ってました。
中学になると、さすがに恵美も俺達と距離をほんの少しだけ取りました。
でも誘って都合がよければついてくるし、部活やなんやで都合悪いときは来ない、その程度です。
中学ではクラスは別でした。
二年になってすぐでした。
俺が恵美に電話して、誘ったんです。
またみんなで遊ぼうと。
そのとき、恵美の返事が非常に歯切れが悪かったんです。
都合悪いのかな?
でも都合悪いいいは、今まではっきりしていました。
ちょっと変だなと思ったんです。
どうしたか聞きました。
二人だけでと言われました。
はぁ?なに言ってんの?
そうつい返事してしまいました。
『だよね?いやだよね』
ブツンと電話を切られました。
まて、返事聞いてないと思い、再度電話をしました。
『行かない』
そうだけ言われ、またブツンと切られました。
俺はその電話の内容が気になりました。
二人だけでと言ったこと、学校でも機嫌悪そうな態度。
流石に鈍い俺も、もしかして?と思ったんです。
またまた続きます。
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