朝起きて鏡を見ると、切れ長の二重瞼が腫れて見るも無惨な顔になっていた。
朝食をとるためにリビングに降りると、母は私の顔を見てタオルに巻かれたアイスノンを渡してきた。
「少しでも冷やしたら楽になるから」
ただそれしか言わなかった。
朝食を簡単に済ませソファーに横になり顔半分にアイスノンを乗せた。
後から来た兄に熱でも出たのかとからかわれたが、言い返す元気はなかった。
ギリギリまで冷やしてから出勤した。
仕事は、そつなくこなした。
仕事をしている方が気持ちが楽だった。
ランチの時間になり、外食を誘われる。
「今日はコンビニにします」
「付き合うわ」
面倒見のいい女の先輩と一緒にコンビニに行く。
「ろくなの残ってないね~」
商品棚を見ながら先輩が言う。
私はおにぎりを一個手にとった。
「そんだけ?」
「あんまり食欲ないんで…」
先輩は、全てわかってるような顔をした。
「野菜ジュース奢ってあげる」
「悪いですよ」
「ついでだから」
先輩と会社に戻り黙々と食べる。
「私の目、腫れてますよね?」
「うん」
先輩は聡明に笑う。
「彼氏とうまくいってないの?」
「別れました」
「別れちゃったかー」
「私も悪いんです」
「私も若い時は色々あったなー」
「今も若いですけど」
先輩とクスクス笑う。
少し元気が出た。
私もこんな人になりたいと憧れた。
「これは飲みに行かなきゃ嘘だね」
「ですね」
「何、食べる?」
「イタリアンの気分ですね」
先輩と、あーだこーだ店を検索してると女の同僚も行く事になった。
「飲みに行く相談?」
「はい」
男の先輩に話しかけられた。
「俺も行く」
「だめ、女子会」
聡明な先輩が、即座に答える。
「俺も女子」
「バカじゃないの」
みんなで笑った。
「あ、私もお昼抑えればよかった」
聡明な先輩は、とぼけた顔で私に言った。
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