次の月、すぐ会いに来ると約束通りたかちゃんはやって来た。
今度はレンタカーを借りて迎えに来た。
今思えば、ここが私達の分岐点だった。
水色の可愛い車。
「わりぃ…これしか空いてなくて」
「たまには、こんな車もいいよね」
今日と言う今日は抱かれる事になるだろう。
でも、自分の中のモヤモヤを晴らす為にも覚悟を決めた。
少しドライブしてからラブホに入った。
入口付近で塗装工がペンキの塗り直しをしていた。
「何も、今やらなくてもいいのに…」
私は、人目に触れるのが嫌だった。
「奥の駐車場にする?」
「うん、出来れば」
たかちゃんは、暗くて狭い奥の駐車場に車を進めた。
何となく嫌な予感がした瞬間、ガリガリガリと異音が鳴った。
「あっ」
「やばい?」
とりあえず、駐車してから車を降りた。
「あーやっちゃった」
見るとレンタカーのフロントに擦った後が付いていた。
「柱?」
「たぶん」
柱を見ると、水色の塗料がへばり付いていた。
「どうしよう…」
たかちゃんは、少し考えた後にレンタカー屋に電話をした。
暫くして警察がやって来た。
ホテルのフロントはめんどくさそうに、うちはいいので勝手に処理して下さいと言った。
「あなたが同乗者ですね?」
「はい」
警官が確認する。
「念の為、名前と住所をお願いします」
「え?私も必要なんですか?」
正直に言うと、書きたくなかった。
「念の為なんで」
警官が食い下がる。
「わかりました」
仕方なく私は書いた。
「ゆうな、ごめん」
「しょうがないよ」
何だか私は自分に腹が立ってきた。
結局、待ち時間も入れたら二時間近くかかってしまいテンションは最悪になった。
全ての処理が終わり、たかちゃんは私の様子を伺っていた。
「ごめん、疲れたから帰りたい」
私は、つとめて明るい口調で言った。
「本当にごめん」
たかちゃんは、私を抱き締める。
「たかちゃんのせいじゃないって」
笑顔で答える。
「ゆうなには迷惑かけないから」
「念の為だから大丈夫みたいだよ」
私は、たかちゃんを慰めると家路についた。
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