暫くその夕景を眺め太陽が沈み、オレンジが紺に変わり辺りが暗闇に包まれていき、やがて見えなかった星が姿を徐々に現して完全に暗くなり、波の音だけが繰り返し聞こえた。「そろそろ始めようか」「うん」袋から花火を一本取り出して火を点けた。パァと明るくなり2人を写し出す。その花火が消えない内に次の花火に点火しそれを繰り返す。「綺麗だね」「そうだな」みぃはクルクルと回す。その光に写し出される表情は楽しそうだった。俺はスマホを動画にして映した。やがてその花火が消えまた暗闇に戻った。「うわっ何にも見えねぇ」「ホントだ」俺はジッポーを点けて花火を探し火を点けた。あっという間に花火はなくなり、線香花火だけになった。それに火を点けた。先程までと違い赤く優しい光に包まれた。ジーっパチっパチパチっと小さな音を発てまたジューといって消える。「線香花火って淋しいけどいいよな」「…うん」暫く沈黙が支配する。俺から言った「毎年花火しような」「…うん」「結婚して子供が出来ても、どっちかが歳取って死んでも必ず…」「…うん」砂に写し出される俺達の影が1つになった。
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