夏休みに入り、いよいよ当日を迎えた。
待ち合わせの駅にはヨウヘイが先に着いていた。
まぁ基本的には変わらないが顔が男っぽく…なんて言うのかな、少し雰囲気が変わっていた。
「お~!さく!こっちだこっちだ!!」
久々だからか満面の笑みだ。
「ヨウヘイ久し振り!」
「さく、お前身長のびたな~?」
ヨウヘイが驚く。
のびたと言ってもヨウヘイと同じ位だ。
一年の末から急にのび出し、とは言えやっと平均的な中二に追い付いた位だ(笑)
「だろ?やっと普通になったよwww」
なんて話をしているとマサキとマヤがやって来た。
「おっ!?何だ?さく身長!」
ヨウヘイと同じ反応をされた。
余程俺は小さいというイメージらしい(笑)
本人はさほど意識してなかったんだけどね…
それより驚いたのはマヤにだ。
もう完全に女の子だ。
服装も雰囲気もブロック塀から飛び降りた姿がイマイチ想像つかない。
「あれ!?マヤなんかイメージと違うじゃん!」
久々に会えた嬉しさと、女の子らしく変わった雰囲気にドギマギした。
「イヤイヤ、あたしも一応女だからwww」
あまりに驚く俺に、自分の服装を確認しながら、別に普通だよ~と照れてるみたいだった。
「じゃあ行くか~」
ヨウヘイに促されて久々に四人でバスに乗り込むと遊園地を目指した。
かなりハシャグ俺達は結構迷惑だったかも知れない…。
遊園地では四人一緒に、あるいは二組に別れて楽しんだ。
最初は適当に二組に別れていたが、いつの間にか二組の時は俺とマヤになっていた。
別れてと言っても基本的には一緒に、二人でしか並べないジェットコースターなどの時に別れる程度だ。
「お化け屋敷行こうぜ」
そんな話が出たがマヤは行かないと言う。
三人で誘うがこれだけは勘弁して欲しい…とどうしても入らないと言う。
「じゃ、俺残るわ…」
俺もここのお化け屋敷は避けたいな~と考えていた。
本物が出る…と言うのを先輩やらネットで見たからだ。
「俺たちだけ!?」
二人は不満そうだが結局別れた。
「別に気をつかわなくても良いのに…」
マヤに言われたが、まさか本物は見たくないなんて言えないので少し疲れたから…とか適当な言い訳をした。
「彼女とか出来た?」
「はぁ?男子校だぜ?出来ないよ」
「へ~、さくなら出来そうだけどね?」
「マヤは?」
「いないよ~!あたしそういうキャラじゃないし」
「男みたいだからwww?」
「うるさいな~!!好きな女の子もいないの?」
「だから~!周りに女の子はいないの!オバサンの先生しかいね~よ」
「ハハハ!!残念だね!」
そんな話をしていると二人が出てきた。
「こいつ超ビビってんのwww」
マサキがヨウヘイを指差す。
「ちげ~よ!誰でもあんなん急に出たらビビるだろ?」
どうやらそこそこ楽しんだようだが、俺は二人だけの時間が終わった事が少し残念だった。
「明日ヒマ?」
夕暮れ時も近づき二人が離れた時にマヤに聞いてみた。
「ヒマだよ、何で?」
「良かったら~…遊びに行かない?」
「皆で?」
「どっちでも…」
「どっちでも?あ…もしかしてあたしと二人でって事?」
「あ~ま~う~ん…」
ハッキリしない俺にちょっとニヤッとする顔をして『じゃ…内緒でね!』と小さくマヤが答えた。
「うん…」
とりあえず思いきって言ってしまった。
駅で四人別れたあと、俺とマヤは二人で近くのマックにあとの二人から隠れるように入った。
「びっくりした!急なんだもん」
マヤが目を丸くしながら言った。
「アハハ…いや~何となくマヤともう少し話したいな~なんて…」
思い切ったは良いが深く考えてなかった。
「どこ行くの?」
「どこか行きたい所ある?」
「う~んカラオケとか…そんな感じ?」
「じゃあまた駅で待ち合わせで良い?」
俺もどうして良いか困ってしまった。
まぁとりあえず同じ時間に駅で…と決めて店を出た。
二人でブラブラ歩きながら家に向かった。
お互い近所…と言う程近くの家ではないので途中にある公園に何気なく立ち寄りベンチに座った。
「前にこの公園も四人で来たよね?」
ジャングルジムを見ながらマヤが言った。
「そうだね…」
返事をしながら夕日に照らされて眩しそうな横顔をドキドキしながら見ていた。
「じゃあ明日ね!」
マヤは立ち上がるとこちらを振り向き、自分の家へと向かって歩いて行った。
それを見送りながらやっぱり俺はマヤが好きなのかも…と思った。
俺も歩き出して数分後、駅に自転車を忘れた事を思い出した…
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