台所へ行き陽子が洗い物をしていた。
あ、かっちゃん私の部屋にいてくれたらいいよ。
外はまだ明るく6時半過ぎ。
陽子、さっきの罠を見てくるわ。
と言い裏手へ。
生け垣の隅に柚子の木が枯れていたので庭先の植木ハサミで切りヤツがコケて手を付きそうな辺りに敷いた。
罠を仕掛ける時に表から来るだろうと予測し横の通路を物を置いて通りにくくし裏手へ行く通路を広くしておいた。
そして、下着を干しているハンガーの隅に釣り糸を結びつけて二階の陽子の部屋まで這わせて風鈴に結ぶ。
ヤツが来てハンガーを回したら風鈴がなる仕組みだ。
下着は奥の方に干してある。
二階にいるのは一階を留守に見せるためだ。 時計は7時過ぎ。
外は日は落ちて暗くなりつつある。
姉の部屋から外をみると何人かが道を行き過ぎていく。
時間は7時半を過ぎると辺りは暗くなる。
表でガサガサと音がした。砕石を敷いた庭先を歩く音がする。窓の外からは下の通路を誰かが歩く足音と物を除ける音。俺らは見えない相手にゴクンと唾を飲む。
カン、カラーン。
チリン、チリーン。
かっちゃん…。
静かに一階へ降りて陽子はリビングへ俺は玄関から物干し場へ。
陽子と10数えたらリビングの電気を点ける様に言った。
7…8…9…10。奥で電気が点くなりガサガサガサガサと誰かが逃げる。俺が誰や!!と大きな声で叫んだ。
ヤツは奥へ逃げる。
待てやおらぁ!!。
奥の方で、
うあぁ…。ドターン。あたたた…、バタンバタンガサガサガサガサ、あたたたた…。ダッダッダッダッダッダッ…。と逃げる足音。
陽子、懐中電灯貸して。
かっちゃんこれ。
針金に躓いて二回コケていた。
3つ目の針金の先には柚子の枯枝が…。
わざと、おらぁ待たんかいやぁ!!と叫ぶ。
柚子の枯枝には手袋とその先には片方の靴。おまけにウエストポーチが落ちていた。
陽子に言ってゴミ袋をもらい、靴と手袋、財布を袋に入れてもどる。
中身は…。
見事にKの私物。いつも学校に持って来てた財布。
中には小銭、バスの定期、コンドーム。定期にはKの本名が記載。
明日が楽しみだった。
翌日、登校日でバス停に行くと松葉杖のKがいた。
どないしたんや。
腕、手のひら、顔面に擦り傷や引っ掻傷…。
学校前で降りる時は現金だった。
あっK、昨日の夜、陽子の家ら辺に泥棒が入って大騒ぎやったみたいやぞ。
Kは、
そ、そ、そうなんけ…。と
震えていた。
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