真澄ちゃんとは話しはするがついつい意識してしまった。
「なんか悩んでんの?しん君なら受験も大丈夫だよ」
イヤイヤ…それじゃないです。
と思うが適当に笑ってごまかした。
「気分転換にカラオケ行こうよ!」
と誘われた。
土曜日の午前中に気分転換がてら寒い庭先でボケっとしてたら声を掛けられた。
最近は家と学校の往復しかしてないな、と思い親に一言断りを入れて真澄ちゃんのバイクの後ろに乗せて貰って向かった。
田舎のカラオケだ(笑)
元々アパートだったのか造りがワンルームマンション的だ。
何曲かお互い歌うと真澄ちゃんから声を掛けて来た。
「最近暗い気がするけど…受験で思い詰めなくても大丈夫だよ」
「う~ん」
と曖昧な返事をした。だって気にはなるけど受験ではナーバスになってないから。
由香先生の言葉を思い出しつつ悩んでいた。
「フフフッ…」と思わず笑いが出てしまった。
悩みはそこじゃないんだよ!と言えない自分を考えていたらつい自分に可笑しくなってしまったのだ。
「え?今の笑いは何?何?」
真澄ちゃんは意図が掴めず聞いて来た。
自分でも意識せず出た笑いなのでごまかす言葉も出なかった。
「良いけどさ…」
そう言ったきりちょっと部屋を沈黙が支配した。
「あのね…」と堪え切れずに切り出したのは俺。
「うん」と頷き身を乗り出す真澄ちゃん。
言葉が続かず下を向いてどうしようか悩む俺。
そのまま真澄ちゃんは黙って待っていた。
「あの~…えぇっと…何と言うか…困ったな」
「うんうん…ゆっくりで良いよ」
ま~言葉を選ぶのに悩みましたよ。
でもここまで来たら思い切る事にした。
「好きなんです…昔から!」
すっげぇ早口だったと思う。
「え?何何?」
と理解してない。
「だから!真澄ちゃんが好きで悩んでるの!」
身を乗り出したまま固まっている姿を見て顔から火が出る位暑かった。
「え!?しん君があたしを?」
コクッと頷き反応を待った。
「…そうか…ありがとう」
…で?ありがとうの続きは!!良い、駄目?と駆け巡る。
真澄ちゃんは暫く考え込み黙っていた。
「…じゃあ…付き合っちゃう?あたし年上だけど」
「良いの?」と逆に驚いた。
無理だと思ったから。
「なんだ~!それが悩みか~(笑)」
と笑っていた。
「私もしん君の事好きだよ!」
「じゃあこっちに来てよ!」
とバンバンッとソファーの隣を叩いて俺を呼んだ。
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