冬の土曜日、山形の銀山温泉に出かけた。
国道13号線を南下し、途中で右に折れた。
祖父母を入れて我が家は五人、真澄ちゃん一家は三人だ。
車は真澄ちゃん父がワンボックスを出し、一台に皆で乗り込んだ。
「エルグランドにしててよかったわ~」
とは真澄ちゃん父。
自慢の車らしい(笑)
銀山温泉は温泉街手前の大きな駐車場に車を停めるって知ってます?
…驚きましたよ。
そこへ宿の主人が軽自動車で迎えに来た。
一般車輌は侵入禁止らしい。
温泉街は道が恐ろしく狭い。
曲がれないでしょ!?
って所もスイスイ走る。
「スゲー!プロだ!」
と散々褒めとたら調子に乗ったのかスピードが上がった(笑)
そして軽く橋の欄干に擦っていた…。
外観は古い旅館、しかし驚く程中は立派。
磨き抜かれた木造の廊下や階段は黒く光っていた。
「大正時代の建物です」
とは女将さんの話し。
「散歩に行こうよ!」
真澄ちゃんに誘われ散策に出掛けた。
暖かい季節なら浴衣一枚で情緒もあるが、この季節は無理だ。
浴衣の上に綿入れ(どんぶく)を羽織り廊下に出ただけでアウト(笑)
結局服に着替えて再出発だ。
「本当なら浴衣の方が良かったでしょ?」
と真澄ちゃんはニヤッとしていた。
意外と多い観光客が溢れる通りのお土産物屋に入ると代わり映えしないお土産が並ぶ。
それでも一緒に出掛けるのが目的だし、泊まりってだけでワクワクした。
「夜一緒に入れたらお風呂入ろうか?」
真澄ちゃんがボソッと呟いた。
「混浴無いよ?」
そうなのだ、ここは昔ながらの温泉街の古い旅館、そんな物は無い。
「だから、夜中にどっちかに入れたらよ」
いや~無理だべ?と思うが一応了解した。
部屋は三室取っていた。
ウチら一行以外は年寄り夫婦らしい。
食事は宿泊客全員一階の大広間で摂るのでその時確認した。
親父達は部屋に戻ると再び宴会だ。
それも11時には終わり、お酒もあり早くも寝息を発てていた。
真澄ちゃんとは夜中の1時にお風呂前で待ち合わせしていた。
その時間が近くなると隣りの部屋から人が出る気配があった。
俺も外に出ると真澄ちゃんだった。
二人でコソコソと一階に降りた。
「寝た?」
「うんグッスリ」
どっちに入るか迷ったが結局女湯に入った。
「ドキドキする~」
と真澄ちゃんは言うが、俺はハラハラした(笑)
他人が来たらシャレにならないからね。
神様お願い!と祈るだけだった。
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