>>15無い!
全く考えなくは無かったけど話しにする程じゃないよ。
しょ~がないじゃん(笑)
近所の酒屋でビールや日本酒などを買った。
「しんちゃん、電車の中の顔は酷かったよ(笑)」
相当ニヤついていたらしい。
「アハハ…一応努力はしたからね~、ホラ、あとは、ねぇ?」
同じ学校に入れたからね!と言いたくても言葉に出せなかった。
先にも書いたがウチは「ド」が付く田舎だ。
庭は広い。
それでも道路まで親父達の声が聞こえて来た。
「…あれ、うちのお父さんだ…」
何やら調子の外れた歌が聞こえて来ると真澄ちゃんは恥ずかしそうに苦笑いしていた。
「ただいま!」
そう叫びながら家に入ると案の定真澄ちゃんのお父さんの歌が響いている。
「おっ!?帰って来たな大将!まずは座れや」
真澄ちゃんのお父さんが自分が座る畳の横を叩く。
「イヤ~たいしたモンだ!引っ越し早々受験で合格なんて親父さんも鼻が高いな!学校の事はウチの馬鹿娘に教えて貰え」
イヤイヤ、親父より盛り上がってないかい?て位ご機嫌だ。
「イサム(親父ね)、言って良いのかい?」
親父に真澄ちゃん父が聞いている。
親父は「オウッ」などと言いながら早速買って来た日本酒へ手を出した。
「あのさ、親父さんと話したんだけど卒業旅行とかあるだろ?友達とかとそんな話しは出ないのか?」
俺達田舎の方では中学の卒業旅行なんてあまり無い。
それに引っ越して来たばかりだからそんなに親しい訳でも無いしね。
「無いよ~高校生とかじゃないの?行くのは」
「そうか?親父さんとな、もしそんな話しが無いならお祝いを兼ねて皆で温泉でも行くかぁ?って話してたんだ」
つまりはこういう流れらしい。
卒業旅行の話し出る→解らないが行かないと思う→だったらお祝いに家族旅行へ→どうせ暇な時期だし真澄ちゃん一家も一緒にどうか?→じゃあ本人に聞こうって事らしい。
「あ~、どっちでも良いよ?どこの温泉?」
家族旅行なんて何年も行ってない。
親父は忙しかったし俺も部活やらあったからだ。
「よし決まりだ!山形辺りか?イサムとしんちゃんの休み次第だな!」
男だけで勝手に決めたのか母親もおばさんもしょうがないね~なんて言っていた。
結局俺が月曜に「家庭の事情」で、最悪火曜日も休むって事で冬の温泉に行く事になった。
「卒業すんだから多少休んでも大丈夫だ~」
とは酔ったおじさんの無責任な発言だ(笑)
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