2013/05/18 08:24:04
(t/7hOQne)
帰り道、僕たちは手をつなぎ合った。僕は、女の子と手をつなぐのは、
すごく照れ臭かったが、鈴菜ちゃんは、僕とだったら、手をつないで
いても安心すると言っていた。僕も、同じ気持ちだった。手をつなぐ
相手が、鈴菜ちゃんだから、すごく嬉しかった。帰り道、2人でいっ
ぱい話をした。女の子とこんなに話をしたのは初めてだ。鈴菜ちゃん
も、同じことを言っていた。今日、出会ったばかりなのに、鈴菜ちゃ
んについての、いろいろなことが分かった。鈴菜ちゃんの誕生日は4
月13日で僕より3日早いこと、血液型はA型で同じこと、ピアノと
バイオリンが得意なこと、あと、勉強は体育をぬかして全部得意だと
言っていた。僕は、何だか、鈴菜ちゃんが、すごく頭のいい優等生の
子のように思えてきた。鈴菜ちゃんは僕のことを、「男の子の中でい
ちばんきちんとしてる」って褒めてくれた。それがすごく嬉しかった。
どうしてか聞くと、ワイシャツの襟元につける蝶ネクタイを、最後ま
でしていたからだという。僕は、習慣で1年生の頃から毎日している
が、高学年になると、行事の時を除いて、しなくなる子が殆どだ。こ
の日は、入学式があったので、式の時にはしていた子が多かったが、
式が終わると殆ど全員全員取ってしまっていた。ちなみに、女の子は
リボンをするようになっていたが、それも同じような感じだ。鈴菜ち
ゃんは「蝶ネクタイやリボンはいつもしている子が好き」だという。
とてもきちんとした、几帳面な女の子なのだと僕は思った。鈴菜ちゃ
んに、「よかったら、今日家に来ない?」と、誘われた。女の子の家
に誘われるのも行くのも初めてだった。すごくドキドキしたけど、嬉
しかった。鈴菜ちゃんも、男の子を誘うのは初めてだったらしい。鈴
菜ちゃんの新しい家は、本当に僕の家のすぐ近くだった。近所、と言
ってもいいくらいのところだった。最近、近くに新しい家が建ったの
は知っていたが、そこが鈴菜ちゃんの家だったのだ。家の前では、鈴
菜ちゃんのお母さんが出迎えてくれた。そこにはなぜか、僕のお母さ
んもいた。町内会に入ってもらうことの話をしていたらしい。僕のお
母さんは、当時、町内会の役員だったのだ。お母さんたちは、僕たち
が手をつなぎ合っていることをとても喜んでくれて、「柚葵が女の子
と歩いているなんて初めてね」と驚かれてしまった。鈴菜ちゃんのお
母さんも「娘に、素敵な男の子のお友達ができてすごく光栄です」と
言われた。そして、ツーショットの写真まで玄関先で撮られてしまっ
た。これから一緒に遊ぶ約束をしたというと、そのこともすごく喜ん
でくれて、お互いの家を訪問し合う話にまでなってしまった。僕たち
よりもお母さんたちの方が、僕たち2人のことで、何だか盛り上がっ
ているみたいだった。「立ち話もなんですから…」ということで、僕
とお母さんは鈴菜ちゃんのお家にお邪魔をすることになった。「お姉
ちゃん、制服ができているから、お部屋で着てみる?」と鈴菜ちゃん
のお母さんが言うと、「嬉しい、ママ、早速着てみるわ。下着も全部
お着替えしてもいい?」と、鈴菜ちゃん。「いいわよ、お着替えした
らリビングに下りてきて、制服姿を披露して」…。鈴菜ちゃんの部屋
は2階にあるらしい。「あと、柚葵君にお部屋を見せてあげてもいい
かしら」と、鈴菜ちゃんがお母さんに聞いた。「もちろんいいわよ」
と鈴菜ちゃんのお母さん。お母さんたちは、これからリビングでお話
をするらしい。「お茶の用意ができたら呼ぶから、それまで2人でお
話していてね」と言われた。鈴菜ちゃんに「どうぞ」と言われ、僕は
2階に上がった。鈴菜ちゃんの部屋は新しくてきれいで、女の子の部
屋、という感じで、すごくいい匂いがした。「今からお着替えするか
ら待ってて」と言われ、僕が部屋から出ようとすると、鈴菜ちゃんが
「ここにいても大丈夫よ」言った。鈴菜ちゃんは、ハイソックス、カ
ーディガン、スカートを次々と脱いで、下着姿になった。「他の男の
子だったら恥ずかしいけど、柚葵君なら平気だから」と、鈴菜ちゃん
が言った。そう言われて、思わず顔が熱くなってしまう僕だった。そ
して、下着も脱いで、鈴菜ちゃんは生まれたままの姿になった。当時
はまだ、胸も膨らんでなくて、あそこも一本の線だけだったのを鮮明
に覚えている。同級生の女の子が、僕の目のまで裸になっている、僕
にとっては、もちろん初めての経験で、衝撃的だった。僕のそんな思
いを知ってか知らずか、鈴菜ちゃんは、何事もなかったように、パン
ツをはいて、下着を着て、そのあと、白いブラウス、制服のスカート、
そして、ベッドに座ってハイソックスをはいた。鈴菜ちゃんのスカー
トの中が丸見えになっていたが、僕はその間、鈴菜ちゃんの裸を見た
ショックで、頭の中が、夢を見ているような感じににぼおっとしてい
た。「柚葵君、お待たせ」鈴菜ちゃんの声に我に返る僕。そこには、
制服姿のかわいい鈴菜ちゃんがいた。ブラウスのえりもとにちゃんと
リボンも結んできちんとしている。リボンは、低学年の子は、僕の妹
も含めて、毎日つけているのを見ることがあるが、高学年では、普段
はつけている子は殆ど見たことがない。鈴菜ちゃんが言う。「私は、
子の学校を卒業するまで、毎日リボンをつけるから、柚葵君も毎日蝶
ネクタイしてね」と言うので、「うん、約束する」と言った。その後、
何だか妙な雰囲気になってしまった。その頃は小学生だったから、う
まく説明はできなかったが。僕は「鈴菜ちゃんのような女の子、大好
きだよ」と言うと、鈴菜ちゃんも、「私も柚葵君のこと、大好きよ」
と言ってきた。それから、どちらからともなくそっと抱きしめ合い、
僕たちは唇同士でキスをした。「鈴菜ちゃん、キスは初めて?」「う
ん、初めて…」「いいよね、僕たち、これからずっと恋人同士で」と
言うと「うん、柚葵君は、今日から私の恋人」と鈴菜ちゃん。僕たち
2人の、何だかぎこちないファーストキスだった。