まぁ既に昔の事だし投下します。
俺の通う小学校は、当時在校生徒数が多い小学校でした。
入学数年前に校舎も建て替えられ、かつての木造校舎が物置としてなのか、一部だけが校庭の端に残り、まぁ何て言うか入学したての頃は不気味だったのね。
古いし汚いし、窓から覗けばチラリと見える階段から古臭い格好した生徒なり先生が降りてきそうな雰囲気。
もちろん当時流行っていた心霊写真集の影響だけどね。
まぁそこそこ不気味ではあるが、そんなの数年もしたら慣れてしまい、探検してみたい気持ちの方が強くなったな。
とは言うものの鍵は掛かってるし怒られたくないし探検なんかした事も無かった。
六年生になり、人よりマセてたのかムッツリだったのか、俺にも好きな女の子がいた。
彼女の名前はユキ、ちょっと性格はキツイが基本的に優しく、そんで勝ち気な女の子だった。
多分ね、俺が好きだったのを知ってたんじゃないかな?
それを知ってかちょっと悪戯っぽい行動取ってたしね。
話しは戻るが、当時俺ともう一人の野田って男の子と三人で仲良くってか校内で集まる事が多かったな。
何で野田まで一緒にいたのかおぼえてないがハッキリ言って邪魔だと何回も感じたのはよくおぼえている。
その三人、集まると怖い話しをよくしていた。
もちろんどっかで聞いたり読んだりした話しだけどね。
ある日ユキが校庭に残る旧校舎について話し出した。
曰く「幽霊が夜中に二階の窓から外を見てる」ってベタな話し。
既に旧校舎への恐怖は無くなっていた俺と野田は「嘘だぁ(笑)」と笑っていた。
「本当に見たって人いるんだから!」ムキなるユキ。
まぁその後は「証拠出せよ!!」とか小学生ならではのアホな攻撃を野田と二人してしたもんだからユキも怒ってしまった。
「いるかも知んないけど、中に入れないしね」
俺の発言で丸く…はないがその場は何とか収まった。
それからしばらくしてだ、ユキから旧校舎に入れるかも知れないと教えられた。
南京錠で鍵を掛けられているが、裏手の入り口の鍵を固定している蝶番?が外れそうだと言う。
「マジ!?入ってみてぇ!」
既に冒険モードの俺、しかし人数が少ないのはちょっと怖いチキンな小学生の俺。
実は本物の幽霊を二度ほど見ていた俺は本物の恐さを知っていたからだ。
早速二人で相談し、迷わず野田を誘うことにした。
普段なら邪魔な時も多いがこういう時は呼んだ方が良いに違いない。
二人で考えたのは夕方5時位から目立たない様にコソコソ侵入するという小学生的な考え丸出しである。
ちなみに校庭の端とは言え目立たない訳がない。
野田を誘うが意外と渋い反応。
「危ない」「見つかったら怒られる」という普通の意見だが、多分怖いんだろうというのが俺達二人の意見。
そこを突っ込めば「それは絶対無い!!」と強く否定する野田。
見て判る位に目が挙動ってましたが…
結局お互いに相談し、土曜日の夕方3時半に学校集合、様子を見つつ4時に決行し早目に帰るという所で落ち着いた。
当時は土曜日は午前授業だったから一度家に戻りご飯食べて一応懐中電灯を持っての集合である。
もうその日の授業は身にならなかったのは言うまでもない。
さて、いよいよ土曜日の3時には待ちきれずに学校に到着していた。
ユキも程なく到着、時間はまだ3時過ぎで野田待ちとなった。
「早く来いよな」
待ちきれずブツブツ言う俺にユキも同調する。
3時半近くには、二人して「野田は逃げたんじゃねぇか!?」となっていた。
「野田んちに呼びに行くか!」
待ちきれず俺はユキに聞いた。
「だね、呼びに行こう」
俺達二人は学校近くの野田の家目掛けてチャリを飛ばした。
「のーだーくーん!」
俺の呼び掛けに出て来たのはお母さん。
「ゴメンねぇ、あの子お勉強しなくちゃいけないの」
(はぁ!?)ってのが正直な気持ち。
同時に逃げやがった…と思った。
お母さんが家に引っ込むと二階の窓から野田が顔を出した。
「マジでゴメン!テストの点数で怒られて今日はマジで無理なんだ!」
声を殺して必死に決して自分はチキンじゃないと訴える野田、半分以上信じてない俺達二人。
しょうがないので月曜日に文句を言ってやるとか何とか言いながら二人で学校に戻った。
学校に戻ると時間は既に4時、あまり遅くなっても暗くなったらなったで怖い。
迷う暇もなく俺達二人はコソコソと裏手に回った。
見付からず裏手に回ると早速ユキの言っていた入り口へたどり着いた。
「しっかり固定されてて外れないじゃん!」
抗議する俺に「ちょっと待ってて」と南京錠を掛けている蝶番をユキは用意していたドライバーで外し始めた。
「スゲェな、用意したんだ」
「当たり前じゃん」
慣れた手付きで蝶番を外すと多少音を出しながらアッサリとドアは開いた。
「ちょっとワクワクするね!」
ユキは目を輝かせていた。
校舎はカビなのかホコリのせいか、すえた匂いがした。
しばらく誰も踏み入れていない校舎に、ユキと二人で入る俺は別な意味でもちょっと緊張していた。