「へそから上って…お前…胸は恥ずかしいんやろ?」
「う~ん、嫌なとこやったら早く済ませたいなぁと思って。」
私はのりこの胸を見ないようにしていた。かわりに、ずっとのりこの顔を見ていた。
「…嫌やったらやめてもいいんやで?」
「ええよ、気ぃつかってくれんでも。勝負は勝負やん?」
ま、それもそうかもしれないが…
私は未だのりこの胸を直視できないまま、石鹸に手を伸ばした。
「背中か前か、どっちから洗う?」
私が聞くと、のりこは
「背中からがいいな。」
と答えた。
私はのりこと向かい合ったまま、風呂椅子をのりこの近くに移動させる。
のりこが少し恥ずかしそうに笑った。
そしてそのまま、のりこの背中に手を回す。
抱き合うような格好だ。
この体勢は子供の頃に自分達の間で決めたもので、まぁ単純に後ろを向くのが面倒だからであった。
「…ホンマに久しぶりやね、こういうの…」
のりこが、自分の耳元でつぶやく。
顔はすぐ近くだった。
「今更やな。」
私がそう言って笑うと、のりこも微笑んでうつむいた。
両手にあたるのりこの肌の感触は、今思えば一流の絹でも触っているような感じだった。
子供ながらにその手触りに感動していたのか、ずっと優しく手を上下していたかった。
「ハイ、終わったで。」
私はそう言い、体を元に戻した。
「ありがと。」
「じゃ、前か…」
私はのりこの上半身に目を向けた。
と、やはりマトモに見ることができず、すぐにうつむいて石鹸を弄っていた。
「どうしたん?」
のりこが聞いてくる。
「…なんでもない」
私は強がりながらそう言い放ち、のりこの首筋の下あたりに手を伸ばした。
「あ…」
のりこが何か言いたげだった気がしたが、構わず、鎖骨、胸…の部分は避け、胸の下、へそ…と下って洗っていった。
その後、体の横に手をのばし、へそのあたりの少しくびれた所から、わきの下まで手を上げながら洗った。
途中、ある部分を洗った時にのりこがくすぐったそうに体をくねらせた。
私が笑いながら何度もその部分に刺激を与えると、のりこは怒って、といっても笑いながらだが、私の頭を殴った。
最後に胸である。
お互いにとって1番拒否したかったであろう部分である。
拒否というと語弊があるかもしれない。正確には恥ずかしすぎた…というべきだろうか。
私は意を決し、のりこの胸に視線をやった。
見てはいけないようなもののような気がして、すぐに目を背けたくなったが、一度見据えると、簡単に視線は離れてくれなかった。
当時の手でギリギリ包めるかどうかというような膨らみ。
水着のおかげて日焼け後がなく、他の部分と一線を画して真っ白な肌。
鮮やかなピンクに染まった乳首。
乳輪は、ほぼなかったように思う。
と、当時見た光景を必死に思い出して書いてみた。
とにかく感動だった。胸がどくどくと鳴り響き、のりこに聞こえないかと心配した。
「ちょっと…そんな見られたら恥ずかしいやん…」
のりこの声にはっとした。
「ゴ、ゴメン。」
私はまた俯く。顔が熱くなるのを感じた。
しかしまぁいつまでもこうしているわけにはいかない。
顔を上げ、自分の手をのりこの胸に伸ばした。
手を膨らみに付けると、少しふわりとして、指のそれぞれが少し胸の肉に埋まった。
例えは悪いのかもしれないが、ゴムボールの空気の抜けた柔らかいのを触ってる気分だったのを覚えている。
「…どう洗ったらいいん?」
「え…?どうって…全体を…撫でる感じ?」
のりこはなんだか困ったような笑った顔をしていた。
「ふーん?」
私はそう言い、胸全体を撫でるように手を上下させた。
これがなかなかいい感触だった。
ゴムボールのようだったそれは自在に形を変え、プリンみたいに反動を伴いながら元の形まで戻った。
私はその感触の良さと、言いようのない気持ち良さに、夢中でのりこの胸を撫で回した。
「やっ…」
そんなのりこの声が聞こえたのは、私が我を忘れて胸を触りたくっている時だった。
見ると、のりこは目をつむり、俯きかげんで唇を噛み締めていた。
私はしまった、と思った。
「ちょ…大丈夫?…ゴメンな。」
しかし、のりこの反応はなかった。
「のりこ…?」
「え、え…?何?」
のりこは今気付いたようにはっと顔を上げた。
「ゴメンな、なんか痛そうやったから…。嫌やった?」
私が恐る恐る聞くと、のりこは
「え?別に痛くなかったで。」
そう言った。
「じゃあなんでさっき痛そうやったん?」
「え…いや…」
のりこはそのまま黙ってしまった。
「…痛くないんやったら洗う続きやるで?」
「あ、うん。」
私はもう一度、のりこの胸に手を被せた。
のりこには絶対に秘密だ…などと考えていたが、正直に言うともう一度触りたいだけだった気もした。
と、手を胸につけると、さっきまでは気付かなかったのだが、少し最初と感触が違った。
ゴムボールにイボができた感じである。
乳首だった。
「…なんか、硬くなってない?コレ…」
「ひゃっ…」
私がそう言いながら乳首をつまむと、のりこがそんな声を上げた。
「のりこ…?」
私が心配を含んでのりこの顔を見ると、のりこは真っ赤になって俯いていた。
「そ、そこはアカンって…」
なんだか今日の夜に暇ができたので書きました。
また感想待ってます。