自分の塾とを立ち上げ既に10年以上が過ぎた。
仕事のモチベーションも、下がってきたので頼まれて大手塾へ週に2回一斉授業に行くことになった。
そこへ新学年の体験に来たのが、当時2年生だった莉奈だ。
自分の女房の結婚前と良く似た、スラッとしたセミロングの髪が似合う
色白で、年齢より大人ぽい雰囲気を持つ子だった。
莉奈は生徒会長もしており、しっかりした所はあるが、成績低下から少し親に反抗しているようだった。
何回か教えているうちに、自分の親よりも年上の自分に妙に懐いてきて、自分の塾にも通ってくるようになった。
もちろん成績が上がっているので親も喜んでいる。
そのうち男子生徒にしてやっていた、肩こりのマッサージをせがんでくるようになった。
しかし、セクハラととられては堪らないので断っていたが、
体育の授業でクビをひねったようで、かなり座っているのが苦痛だったようで、授業後自分の所にやってきた。
ボランティアで小学生や中学生のスポーツの指導もしていて、全国レベルの選手も見ている自分からしたら、
しばらく動かさなかった為に、肩甲骨から頚椎にかけて固まっているのだろうと予測していた。
授業終了前、莉奈の家から電話があり、母親から親戚の不幸で留守にすることになった、と連絡があった。
いつもは車で送り迎えそてもらっている莉奈だが、その日は教室を片付けた後、自分が責任持って送っていくと伝えた。
生徒やアルバイトの講師が帰った後、自分の机でプリントを整理していた時に、莉奈が近づいてきた。
帰る前に、テストで頑張ったご褒美として、欲しがっていたかわいいボールペンとキャラクターの小さなぬいぐるみを渡す約束をしていたのだ。