できるだけ早く投稿するつもりでしたが、なかなか時間がとれずに一週間も経ってしまいました。
「あったことだけを短くスマートに書けよ!」と思う方もおられるでしょうが、俺自身「その時の雰囲気や気分こそが最大のエロファクターだろ!」という変態的思考の持ち主ですので、その点はどうかご容赦ください。
居酒屋から兄貴の家に向かうほんのわずかな時間に、いつの間にか眠ってしまっていた便璃は、やはり相当疲れていたのだろう。
小さく閉じた口、小刻みに上下する肩、街の明かりを受けてキラキラと光る髪。こちらに顔を向けてスヤスヤと眠る便璃の姿は、まるで一枚絵のように美しく、魅力的だった。
(さて……どうにも起こしにくいねこりゃ)
しかし、便璃を起こして家に運ばないことにはどうにもならない。玄関を開けてお姫様抱っこで運んで行こうかとも本気で考えたが、エンジンを切ると、ものの数秒をしないうちに向こうで勝手に起きてくれた。
「あ、起きた?」
「……はい」
返事を確認し、助手席に回り込んでドアを開ける俺。
「大丈夫?自分で歩ける?」
「……」
返事はなかったが、自分で歩いて行けそうな雰囲気でもなかったので、試しに手を差し出してみる。
「……?」
手を繋いで家に戻ろう、という意味だったのが、それが通じていないのか、単なる拒絶からか、便璃は俺の手を握ろうとはしなかった。
「……ここ、お家ですか?」
手を握ってもらえなかったことでちょっとショックを受けていた俺だったが、便璃のその返事で、ようやく彼女の態度の意味を理解する。
「そういえば便璃ちゃん達はホテルだっけか」
遙さん姉達は、家から割と近いホテルを借りていた。その話は遙さん姉達が来る前から聞かされていたはずだったが、その瞬間まですっかり忘れていた。
「いや、便璃ちゃん疲れてるだろうから、兄貴達が帰るまで家で寝てるなりシャワー浴びるなりした方がいいと思うよ。俺もシャワー浴びたいし」
そもそもホテルは、居酒屋とは反対方向だ。「むしろ俺が先に風呂に入りたいくらいだわ」とか「まさかホテルまで送れなんて言わないよな?」という無言のプレッシャーを与える俺。
「でも私、着替えとか全部ホテルにあるので……」
なかなか歯切れの悪い便璃に若干イラつく俺。気が付けば俺は、持て余していた右手を、こっそりと便璃の太腿に置いていた。
レスに続きます。