そもそもN美は人見知りでおとなしく、必要な事以外は親ともあまり口をきかないような子だった。
友達も多くなく、休みも一日中一人で家にこもり読書や人形遊びをしている。
共働きの両親(俺の叔父叔母)が帰宅し、しばらくしてからN美が家にいる事に気付く、そんな子だった。
一人っ子で、他に歳が近い親戚もないN美は俺には小さな頃からよくなついてくれた。俺も自分なりに可愛がっていた。
だが、思春期という面倒な時期になり、異性の体への興味を持った俺にとっては、親戚というつながりは関係なかった。
最初のうちは、歳が離れた親戚の姉ちゃんの熟れたおっぱいやたっぷりした尻に興味を抱いたが、見るだけならまだしも、それらを直接感じて興味を満たす事は俺には出来なかった。
「女の体」を直接感じ、味わう事が出来る異性を探し、行き着いたのがN美だった。
俺はしばらく、会うたびに悪戯を続けた。いつまでたっても、何をしても大した抵抗はなく、俺は興味も何もなく、ただ射精するだけになっていた。
中学に入り、高校はどこにするか考えなければいけない時期になって、N美は自分で自分に根性焼きをしたり、手首を切る までは行かないが肌を傷つけたりするようになった。
俺は自分がし続けている事が原因だろうと確信し、いつか問いただされ明るみに出るだろうと覚悟していたが、学校の成績が悪かったN美は受験前のノイローゼかヒステリーだと周囲に判断された。
俺には何のお咎めもなかったが、悪戯は止めた。
時がたち、何とか高校を出て仕事をし、出来ちゃった結婚を迎えたN美は、これらの事を話すと、はっきり昔の事は水に流し忘れる、と言った。
俺は「母親になると人間変わるな」と感心させられた。