今年のイブもクリスマスもバイトに追われていました。
帰り道によく行くスーパーに寄ると売れ残りのクリスマスケーキとフライドチキンが激安で売っていたので気分だけでも、と売れ残りのケーキとチキンとシャンパンとかを買って帰りました。
帰り道に公園を突っ切って近道をするとベンチに誰か座って居るのが街灯で照らされて確認できましたが、こんな寒空の夜にと思い横目でチラッと見ると、下を向いていましたが向かいのアパートに住む女の子だと分かりました。
「あれっ、由衣ちゃんどしたの?」と声を掛けるとベンチに座り下げていた頭が動き僕の方を見ると「あっ譲二君こんばんは」と元気なく返事をしてきました。
由衣ちゃんの隣に座り話を聞くと最初は言葉を濁す様な感じでしたが、早い話、シングルマザーの母親が彼氏を連れてきたので2時間位は外で遊んでこい、と言うことでした。
こんな寒空の夜に、外で遊んでこいって普通の親なら考えられない…でも僕の母親も同じ様な人間でしたから由衣ちゃんの気持ちは痛いほど分かるつもりでした。
とりあえず寒いから僕のアパートに避難する事にしました。
アパートに着き寒い部屋をファンヒーターとこたつを点けて暖まることにしました。
2時間位したらアパートに帰れば大丈夫だろうとテレビを見ながら買ってきたケーキとチキンを食べることにしました。
嬉しそうにケーキを食べる由衣ちゃんを見ると無邪気な中学二年生の女の子でした。
でも、自分が母親から追い出された意味を知っているのか不安と可哀想に思えてきました。
学校の事や友達の事を話す由衣ちゃんは本当に可愛らしい女の子です。
そんな時間はすぐに2時間を過ぎて由衣ちゃんは向かいの自分のアパートに帰っていきました。
ケーキとチキンだけでは物足りない感じでピザをデリバリーして待っていると10分も経っていないのにドアーがノックされました。
えっ?メチャメチャ早いと財布を持って玄関に行きドアーを開けたら帰ったはずの由衣ちゃんが立っていました。
「どしたの!?」と話し掛けると、母親と彼氏はこれから出掛けて、明日帰ってくる、とだけ言われたそうです。
二人が出掛けて一人になり寂しくて僕のアパートに戻って来たそうです。
まぁ、僕も一人で居るよりは二人の方が楽しいからと歓迎しました。
程なくしてピザ屋が来てくれました。
由衣ちゃんにはジュースを出して、僕は帰りに買ってきたシャンパンを飲みながらピザを食べ始めました。
「シャンパンって美味しいの?」と聞かれて「美味しいよ」と言うと「一口ちょうだい」と言われ本当なら未成年だから飲酒はダメなんだけど、クリスマスだしと多目にみてコップを用意しょうと思ったら「譲二君ので良いから一口ちょうだい」と僕のコップに入ったシャンパンをゴクリと飲んでいました。
「うわっ、本当に美味しいね」と残りシャンパンを飲み干してしまいました。
僕は冗談で「げっ、全部のまれた…」と大袈裟に騒いでやりました。
結局コップを取りに行き、二人でこたつに入りシャンパンでクリスマスを祝いました。
シャンパンのアルコールで由衣ちゃんの顔はほんのりピンクに染まっていました。
僕もあまりお酒に強い方じゃないのでシャンパンで酔ってきていました。
アルコールで二人のテンションが上がり、下ネタとかも平気でした話していました。