家の嫁は元家出少女だった。
10年前の夏、殆どチンピラ君数名に絡まれて危うかった嫁を助けたら、俺に付いてきた。
終電まだ間に合うから帰れって言うと、家出してきたから帰れないと答えた。
歳を聞くと14歳になったばかり。顔はまだあどけなくて可愛く、とてもズベっているようには見えなかった。
何度か説得を試みたが頑なに拒否され、おまけに俺がだめなら他に誰か泊めてくれる人を探すと言う。
仕方なく連れ帰ることに。それが運命の分岐点だった。
大学に通っていた俺が当時住んでいた家は母方の親類の別宅で、住宅街の外れにあった。建家と庭の維持管理を任され無闇に余人を招き入れないようにと言われていたが、仕方なかった。
一晩だけの約束で泊めたら、嫁は夏休みが終わるまで住まわせてほしいと強く求めてきた。
頑なに家に帰りたくないという嫁に理由を聞くと、母親の内縁の夫に襲われかけて逃げてきたとのこと。
仕方なく母親にだけは居場所を言わなくても連絡を入れるという約束で住まわせることにした。すぐ横で電話の会話を聴いていたが、嫁の言ったことに嘘はなさそうだった。
いざ一緒に生活し始めると嫁は意外なほど料理も上手く、家事仕事も積極的にこたしてくれた。おまけにとても奇麗好きで家の中が瞬く間に片付き磨かれていった。数日後にはバイトから帰るとしっかり模様替えまでされてしまっていた。
嫁との同居生活が便利で楽しくなってしまった俺は、いつしか嫁が不可欠な存在になっていた。
また次回に・・