年末から年始にかけて、居候との出会い、続編です
抱きながら考えていた、やっぱり、この子の事が好きだ!
後先考えなく、真っ直ぐに自分の感情を俺にぶつけてくる若さの特権が、羨ましくなった
先の事なんて、誰にも分からないじゃないか!
歳を重ね、仕事・恋愛・結婚と判断をする度に、臆病になってしまった
慎重と臆病は、似てるようだが違う
慎重は、前に進む為に、踏み留まり考えるが、臆病は、逃げる為に考える
この子との事は、慎重にならないといけないが、決して臆病にならないと、心に決めた!
もう何回、彼女とこうやって肌を重ねただろう?
その度に、新しい発見があり、彼女への愛しさが倍増していく
彼女もまた、俺によって進化してきた
お互いが、こうやってすべての事を高め合って、成長していこう
腕の中で、荒い呼吸を鎮めようと、彼女が深呼吸している
落ち着いてくると、顔を胸に埋めながら「気持ち良かったから、ご飯作らなきゃダメだね!」と笑いながら言った
「じゃ、気持ち良くならなかったら、本気でご飯作ってくれなかったの?」と聞くと、「当然!約束だもん!でも、おじさんの事好きだから無理かな?」と答えた
窓の外は、太陽が傾き、暗くなり始めていた
2人でベッドを出て、彼女の着替えがない事に気付いた
家に帰る時に、全部鞄に積めて持って帰ったからだ
彼女が、着てきた服は汚したくないから、俺のスエットを着ると言い出した
楽しそうにスエットを着てみたが、手も足も出てこない
何回も折り返し、とりあえず手と足は出たが、ウエストの紐を力一杯引っ張って短く結んでも、彼女の腰が生地より細いので、どうしても落ちてくる
どこからか?見た記憶の無い紐を持ってきてスエットの上から結びつけた
家の中の事は、彼女の方が詳しくなっている
ミシュランのマスコット、ビバンダムみたいだ
食事も済み、リビングのソファーで、イチャイチャしてると、彼女が「携帯の番号とアドレス教えて!」と言い出した
いつも一緒に居たから、不便を感じる事も無く過ごしていたが、これからは必要だ
携帯を彼女に渡して、入れて貰った
彼女のアドレスが、彼の誕生日と彼女の誕生日の混合で作られていたので、新しいアドレスを作った
小恥ずかしいので、今回は彼女の名前と誕生日だけにして貰った
「彼とはどうするの?」と聞くと「あんな子供とは、別れたよ!」とアッケラカンと言った
家に帰った後、彼から連絡があって、連絡が取れなかった彼女の心配よりも、自分が遊びに行った話をしてきて、腹が立ったので、「好きな人が出来たから別れて!」って言ったら、泣き出してしまい、しかも最後まで一緒に行く筈だった遊園地の、チケット代を心配してたらしい
そりゃ嫌われても仕方ないなと思った
20才の大学生らしいが、半年の恋愛期間を終わらせ、可哀想な事をした
仕事中はメールを貰っても、直ぐに返せない事、電話は折り返し掛けるから、着歴だけ残したら切る事等を決まり事として決めた
彼女の要望は、1日1回は必ずメールする事、家に帰ったら連絡する事、休みの予定は、決まり次第教える事等を言ってきた
こんな決まり事作るのも、ママゴトみたいで面白い
彼女の携帯は、支払いが父親なのにも驚いた
父親の愛情も相当な感じなので、前途多難!
「いつでも入れる様に、鍵を貸して?」と言われ、別に隠す物も無いので、合鍵を渡した
「この部屋好きだから、ず~と居ようかな?」と、目をキラキラさせて喜んでいる
「明日も遊びに来ていい?」と聞かれたが、「明日から仕事だからダメ」と答えた
いろいろ話していると、遅くなってしまい、家に送る事にした
門限は12時だが、早く帰る分には母親の印象も良くなると考えた
彼女は「折角頑張って、遅くして貰ったのに~!」と不満顔
平日でも会える様に考えて、交渉した様だ
昨日の自転車をトランクに入れて、紐で落ちない様に縛った
コンビニに着くと、なかなか降りようとしない
時間的には、まだ余裕があったので、自転車だけ降ろして車に戻った
彼女が真剣な顔で「彼女にしてくれたんだよね?」と聞いてきた
一瞬どうするか迷ったが、彼女だけには誠実でいたいと思ったので、「そうだよ、これからよろしく!」と言って、周りを気にしながらキスをした
彼女は、急にハイテンションになり、車の中で小躍りし始めてしまった
「ママに報告しなくっちゃ!」と言うので、それだけは必死に止めた
満面の笑みで「おやすみ!」と言ってキスをして帰っていった
これで良かったんだよな?と自問自答を繰り返したが、答えなんて出る訳も無いので、考えるのを止めた
次の日、仕事初めだ
昨日、年甲斐もなく頑張り過ぎたので、腰に違和感を感じながら仕事をした
と言っても、初日の営業なんてする事がない
新年の挨拶回りと、会社にきた、形だけの年賀状の仕分け位だ
昼過ぎには、終わった
同僚と昼飯を食べていると、彼女からメールがきた
(○○ちゃんからメールだよ!)とアニメ声の着信音を勝手に設定されてて、慌てて携帯を探していると、同僚達に「そんな趣味あったんだ?」と大爆笑されてしまった
携帯を渡すんじゃなかったと猛反省
内容は、布団をベランダに干した写メ入りで、これで良いのか?との確認メールだった
早速、部屋に入った様だ
さりげなく、「大丈夫」とだけメールを返した
その日は残業もなく、定時で帰れた
帰りの車の中から、彼女に電話をした
彼女「もしもし!」
俺「今、仕事終わったから帰るけど、まだ家に居るの?」
彼女「居るよ!ご飯の用意しようと思ってたとこ」
俺「何か要るものあったら買って帰るよ?」
彼女「う~ん、まだ残り物で作れるから大丈夫」
俺「分かった、じゃ、真っ直ぐ帰るね」
彼女「気を付けて帰ってきてね」
俺「分かった、じゃ」
まるで新婚の会話だ
家に帰ると、エプロン姿で彼女が迎えてくれた
抱き付きたいのを我慢して「ただいま」と軽くキスをした
そのまま、寝室のクローゼットに連れて行かれ「ここに私の服入れたから、こっちに移したよ!」とクローゼットの中の模様替えをされていた
随分多く服が入ってる様に見えたので「これだけの量を、チャリで運ぶの大変だったんじゃない?」と聞くと、「1回で運べないから、ママに車で運んで貰った」と言った
えっ~~!である
母親にバレてる
一瞬、心臓が止まったか、脳ミソが鼻から出たかと思った
「ママって、ママだよね?」と訳の分からない質問をすると平然とした顔で「そう、ママ」と返してきた
この母娘はどうなってるんだ?
昨夜、彼女は母親に、「○○さんと付き合う!」と話して、反対はされなかったみたいだか、流石に、自分より年上の男との交際は、驚いていたそうだ
父親は、俺より5才上なのでせめてもの救い
彼女が言うには、最近、母親の彼氏が家によく来て、家に居たくないと言ったから許して貰えたみたいだ
家出中は、所在が分からず不安だったが、どこに居るのか分かっていれば安心するとも言ったらしい
彼女が大学へ進学と同時に、「1人暮らししたい!」と、前々から頼んでいたのもあると言った
母親は、娘の高校卒業を機に、再婚する予定らしい
高校迄が、親の扶養義務だと前々から言っていて、その後の事は、父親と相談していた
卒業には、少し早いが1人暮らしよりは、安心と考えたのかもしれない
まさか同棲する事になるとは、考えて無かった
彼女は、3学期もあるので、「冬休みの期間限定、同棲お試しプランに申し込みしました!」と笑いながら言った
笑い事では無い!
母親に会ったと言っても、非常事態の時だったので、まともな挨拶もしてない
こんな事を許す母親は、余程、娘を信じてるか?頭のネジが2~3本抜けてるとしか思えない
マンションの近隣に、何て言えば良いのか?
問題点が有りすぎて、頭から湯気がでそうだ
食事中も頭の中は(どうする?俺!)で一杯だった
しかし、この行動力には、いつもビックリさせられるが、羨ましいとも思う
会ってからまだ1週間だ
内容は濃い1週間だったが、まさかの展開に、頭も体も付いていけない
7日が始業式らしいので、後3日ある
どうした物か?と考えながら食事をしていたら「美味しくない?」と聞かれた
味なんて分かる筈もなく、「始業式の前に帰るの?」と聞くと「美味しくないか?って聞いたの!」と怒られた
質問に質問で返してしまった。反省
慌てて「美味しいよ」と言ったが、既に遅く膨れっ面になってしまった
ご飯を口に入れながら、「連休明けに帰るつもりだから、1週間の約束をママとしてきた!」と答えてくれた
こうして【親公認?の家出(同棲?)生活が始まった】
つづく