タイトルそのまんま、です。
私は警備員です。基本、常駐契約ですが、派遣現場が竣工すれば次の新規現場の話があるまでスポット現場で繋ぎます。
あれは何年前かなぁ、すぐに現場が見つからなかったからリーマンショック後だったかな。スポット現場でさえ少なくなり、少し不安を感じていた頃。
3日振りに指示を受けた現場が『はぁ?それ何処?』ってくらい遠く聞いたことの無い他県。ギリ、ガラケーからでも利用路線など検索できたが(余談ですが、昔は分厚い都・県の地図本をバッグに入れてた・・)知らない最寄り駅、現場まで徒歩(初めて行くにはバスは危険)所要時間が読めないから、もう早く出発するのは常識。
始発電車に乗り、三回路線を乗り換える。世間が都心へ向かいラッシュの中、私は逝けば行くほど混雑から離れて行く。
ガラガラに空いた座席に座ると、今度は学生がチラホラと目につく。なんか、朝から電車で生足JKをゆったり観れるのは得した気分だ。
気が付くと私の正面に座った2人のJKが私にスマホカメラを向けている(様な気がする)・・・しかし、思い違いかもしれない。何かのサイトに没頭してるだけなんてよくある。私も自意識過剰・・・・
いやいやいや、赤いライト点いてるだろ!撮ってるよ!動画?・・・なんで!?
タチの悪い田舎JKにからかわれているのか?それくらいしか思いつかない。私は有名人でも無ければ、JKにスマホカメラ向けられ(少なくとも、初めて来た他県の過疎路線で)る身に覚えが無い。
もう感じ悪い以外の何物でも無い。もうその場をすぐに離れたい気持ちで一杯だったが途中下車=タイムロス。現場に遅刻したらお客様に迷惑がかかる。
ここは我慢だ。私は目を閉じ腕組みをして乗り越えようとした。
数駅通過し、やっと私の目的駅に着いた。私はサッ、と立ち上がりバッグを背負うと電車を降りた。その際、一切JK達に目配せしなかった。見て言いがかりや、いわれの無い嘲笑など不快になるだけだからだ。
ホームに出てキョロキョロした。ド田舎のくせに近代的な真新しい駅じゃないか。少し迷っていると背後から『すいませ~ん!』と弾けたハモる声。
察しがついた。もう初めから眉間にシワを寄せ挑発的表情を作り私は振り返った。
案の定、先ほどのJK2人だった。ニヤニヤしながら、まだスマホカメラをこちらに向けている。
『それ、撮ってんの?何で?』
『きゃ~!チカン男がキレてま~す!』
ケラケラ笑いながら実況中継風に語るJK。
フザケんなよ、と思ったが今は『仕事』しか頭に無かった。
無視して改札に向かおうとしたら、JKに腕を掴まれ、最寄りの多目的トイレに引っ張られた。
個室に入り話を聞くと、どうやら私は今日初めて乗った路線に最近出没する『チンコ出しオジサン』に間違われた様だ。
おいおい、と思いながらも、その日の私は冷静だった。
JKの情報源の友達(別のJK)にその場で電話をして貰い、そのチンコ出しオジサンの特長を再確認させた。
ヘラヘラ笑いながら友達に電話するJK。
『あ、槌槌~?、うん、うんうん、あのね、・・えっ?、あ、それ、その話、・・えっ?話なんだけど~、えっ?なに?・・うっそ~!?、出たの?槌槌の所に~?』
はい?
『ごめんなさ~い』謝るJK
『何だって?』もう察しがついた私。
『間違いました~。』
た~じゃ無ぇよ!
よし、一件落着。深追いはしない。
『いいよね?俺、出るよ?』
私はトイレの扉のレバーを外そうとした。
『・・・・!』
出ようとしたJKが私の手首を掴んで出るのを阻止した。