A電気街で三人ほどJrアイドルを見たことがある。
(あくまで偶然道端でという意味…)
仕事で時々訪れる雑居ビルの隣のビルのショップに、そういうイベント(?)か何かで来ていたのだと推測される。
(これはエロいシーンなどは出てこない)
私が用を済ませて帰ろうとビルを出ると、一人の少女が隣のビルから飛び出してきた。そのあとを母親らしき人物が追いかけている。
私は名前などは知らないが、そういう業界の事なら多少は知っていた。何故少女が怒ったように出てきたか、想像だが察しはついた。
不本意な事でむくれる娘に手を焼く母…
あのビルの前で見かけなければ、たいして気にもならなかったかもしれない。
子供に働かせてるんだ…ご機嫌くらいとってやれよと思った…
同じ状況で見かけた父と娘はもっと不快だった。
やけに若ぶったチャラチャラした男だ。
娘に対する態度が偉そうなのがしゃくにさわる。
子供に稼がせた金で自分だけ着飾る男。
路地裏に連れ込みたい衝動に駆られた。
娘と別れてくれないかと思ったが、駄目だった。
また娘に救われたな…
最後の娘は少し状況が違った。
電車に乗ろうと駅に戻った時だ。
大人と小学生の中学年ほどの娘がいた。
ブラック企業の社員風な男(30前後)は、「お疲れ」と言って、ひと足先に駅に消えた…(私にはすぐ二人の関係がわかった)仕事が済めば少女には関心がないようだ。
少女は自分の身長とかわらないくらいの、大きなバッグを背負っていた。独りその場に取り残された少女と目があった。
少女はよたよたと歩きだしてエスカレーターに乗った…
タイミング的に後ろになった。
鞄が重いのか、担ぎ直す度によろける少女。中はおそらく衣装の類いだろう。私はエスカレーターに乗ってる時だけでもと、バッグの下に手を入れて持ち上げた。
急に軽くなったので驚いたのだろう、少女が振り向いた。
私は上に着くまで…という無言のサインを送った。
少女ははにかんだように小さく会釈した。
上に着いたときもちょっと会釈してくれた。
無愛想というわけではない。人に親切にされたことがあまりないのだろう…そんな会釈だった。でも、うっすら微笑んでいたのだけはわかった…
その少女は駅のホームにいるときにも気づいた。自動販売機の陰に目立たないように立っていた…
携帯やスマホをいじくる訳でもなく、ただ立っていた…
寂しそうにポツンと立っているその姿だけは、今でもはっきり覚えている…
それから月日が経ったある日…電車のボックス席に最悪な気分で座っていた。
三人組の中学生の少女達が乗ってきて、同じボックス席の空席を埋めた。ひと目見ただけで裕福な娘達なのは、持ち物を見てわかった…
有名ブランド品かぶれとしか言いようがない。最低なセンスだった。自分等が端からどう見られてるかなど一生気づかないだろう…
会わなくてもこの娘達の会話で親が馬鹿なのもわかった。
そして、娘達の一人が、新作のブランド物のバッグを買って貰うという話をしたとき、あの大きなバッグによろけていた少女の事を思い出した。
私はひどく腹が立っていた…
このガキどもが早く降りてくれないかと、そればかり考えていた…
今でもなんという芸名か知りません。
調べようとも思いません。
そもそも、なぜこんな投稿をしようと思ったのかもわかりません。
(手持ちぶさたで読んだりしていて急に思い立った)
ちゃんとご飯を食べてるのか…そんな余計なお世話な事を考えてしまう少女が珍しかったのかもしれません。
自分があまり長生きできない境遇にいるからかもしれません。
ただ、かわいいこでしたよ…