15年ぶりに帰った地元は色が褪せて見えた。
高校を出てから一人暮らしを始め、今日まで一度も地元には戻ってなかった。
俺には実家がない。
親が居ない訳ではないがかなり複雑な環境だったので帰る気持ちにならなかっただけだ。
「今更・・・。」
ボソリと呟くと今来た道を振り返る。
ガキの頃、3日と空けずに通った場所。
学校から少し山の方へ入ったところにある空き地だ。
ガキの頃は特に持ち主なんて気にして無かったが恐らく市とか県とかが所有する土地。
なので造成が入ることもなく、未だに荒れ地のままだった。
首都圏ではあるが、都心開発の枠組みに縁遠い故郷。
子供の遊び場としては最適だった。
大人の干渉を受けることなく好きな事をできるから。