私は西日本の田舎町に住むアラフォーの男です。
今から10年位前の話しをします。
私は当時ある温泉街の近くで土木関連の工事をしていました。
道端で作業をしていると二人の女子学生が毎朝毎夕私の作業場所の前を歩いていました。
彼女らは愛想がいい子で朝はおはようございます。午後はこんにちは。と挨拶して行きました。
私も、おはようさん。と毎日挨拶している内に彼女らとの挨拶が楽しみになってきました。
日ごとに、単なる挨拶から、会話付きの挨拶になってきた。10日位たった頃だろうか?
彼女らの服装が体操服でした。
おっ、おはようさん。今日は制服と違うやないか。
おっちゃん、おはよー。今日は体育祭やしこの格好やねん。
そうか、頑張ってこいよ。
うん、行ってくるな。おっちゃんも頑張りや
彼女らは走って行きました。
その日の午後3時過ぎ頃か…。
二人が走って来た。
おっちゃぁん。ただいまぁ。あさみらの白組が優勝したでぇ~。と、言ってきました。
そうか、あさみちゃんの白組が優勝か~良かったなぁ。
おっちゃん、何であさみの名前知ってん?
へ?お前、今、あさみの白組が優勝や。って言うたがな。
あっ、へへへっ。
私があさみでこっちはめぐみ。
あさみちゃんとめぐみちゃんやな。
おっちゃんは?
おっちゃんはおっちゃんや。
けど、おっちゃん、ここはいつまで工事するん。
ここは来年2月までや。
じゃ、あさみらが3年になる頃には完成やな。
あさみちゃんらは二年生か?
そやよ。花の中学二年生。
とケラケラ笑いながら言う。
あさみは、今で言うとなでしこジャパンの宮間あやに似た感じの子でめぐみは海堀あゆみに似た少女だった
当時、私には妻とあさみ達と同い年の娘がいましたが、色々な事があり妻と娘と別居生活していました。
あさみらが、毎日笑顔で接してくれるので娘の様に思えてきました。
逆にあさみ達は父親の様な兄の様な友達の様な感じで接してくれてました。(後にあさみあら聞いた)
ある日の午後、いつも二人来るのがあさみだけが歩いてきた。
おっちゃん、ただいまぁ。声は少し悲しく聞こえた。
おっあさみちゃんお帰り。今日はめぐみちゃんは?
めぐなぁ、昨日の夜に塾の帰り道で事故ってな。自転車で走ってたら車に跳ねられて足の骨が折れてんて。で、市民病院に入院してん。
そうか、それはエライ事やな。めぐみちゃんの病室は知ってるんか。
うん、3階の302やて。
そら、見舞いに行ってやらんとな。おっちゃん今日仕事終わったら行って来るわ。
じゃ、あさみも一緒に連れてってよ。
おぅ、おっちゃん5時に終わるし5時半にここまで来たら乗せてったるわ。
うん、わかった。
5時半に待ち合わせして私はあさみと二人でめぐみちゃんの見舞いに行った。
病室にはめぐみの両親が付き添っていた。
あさみが、
めぐぅ。大丈夫なん…。現場のおっちゃんに言うたら見舞いに行かなアカンなって乗せてもろてきた。
めぐみが、
あっおっちゃん。ありがとうぉ。びっくりしたやろぉ。
めぐみの両親が、
あのぉ…。と声をかけてきた。
あっ、お母さん、学校の帰りに工事してはるおっちゃんねん。
私は、あっ、すいません急に。○○○の所で工事現場で作業してる者で■■と言います。
いつもあさみちゃんとめぐみちゃんが朝と夕方に挨拶してくれて私も偉い子やなぁって思うてまして、
あさみちゃんにさっき聞いて慌てて越さしてもろうたんですわ。
実は私にも同い年の娘がいてましてね。他人事や無い気がして…
めぐみの親が、
うちの娘らが仕事の邪魔とかして迷惑かけてすいませんねぇ。と言うので
いえいえ、3時の休憩の時やし大丈夫ですよ。
二人と話ししてたら面白いし。
もぉ、うちのめぐみもどんくさい子で、余所見してて交差点で一旦停止してる車に突っ込んで、足の骨と右腕と鎖骨を骨折しましたんやわ。
めぐみが、お母さんエエてもぉ。
私はめぐみちゃんに
まぁ、骨は折れたけど命に別状ないから安心したわぁ。
あさみちゃんに聞いた時はびっくりしたがなぁ。
おっちゃん、ゴメンなぁ心配かけて。
あぁかまへんかまへん。めぐみちゃんが無事なんがわかったさかいおっちゃん安心や。
めぐみちゃんも無事やしおっちゃん安心したしおっちゃん帰るわな。
めぐみの両親が廊下まで送ってくれて、
■■さん申し訳ないです。娘が迷惑かけて…。それにお見舞いまで…
いやいや、私もめぐみちゃんらが毎日笑顔で挨拶してくれるんが楽しみですからぁ。
お見舞いの品まで貰ってすいません…。
いやいや、めぐみちゃんも骨折で済んで良かったし私も早くめぐみちゃんが退院してくるん楽しみにしてますさかいに。ほな、お父さんお母さん失礼しますわ。
めぐみの両親は深々と頭を下げていました。
エレベーターを待ってると、あさみが、
おっちゃぁん待ってえやぁ。
あっ、お前忘れとったわ。
もぉ。
私はあさみと共に病院をあとにする。
なら、めぐみちゃんの見舞いも終わったしあさみ送って行くわな。
おっちゃんはこれからどうするん?
俺か?今から晩飯食って銭湯行って終わり。帰って寝るだけや。
なぁ、おっちゃぁんどこか遊びにいこうやぁ。
どこ行くんよ。
えぇ~どっか。
しゃあない、マクド行こか?
へっ、マクド?まぢすか?
まぢすよ。
じゃ、マクドへゴー。
てか、片道40分かかるやん。
えっちらおっちら走ってマクド到着。
あさみは、半年ぶり位に食べる様で、子供の様に(ま、子供だが)喜んでいた。
お腹いっぱい食べてあさみを送って行く。
帰り道の途中の峠道にラブホがあり、あさみが、
なぁなぁ、おっちゃぁん?あのホテルて温泉のホテルなん?
どこよ?
あのキラキラした所やん
あぁ~ここかいな。
ここは秘密の所や。あさみも大人んなったら解るわ
なぁなぁ、ラブホってやつ?
なんや、知ってんかいや。せや、エッチするホテルや。
やっぱりぃ、あさみの友達のお姉ちゃんが彼氏と行ったって聞いてん。
なぁなぁ、あさみも行って見たいぃ。
彼氏と行ってこいや。
彼氏おらんしぃ。
そんなこんなであさみの家の近所まで送ってやる。
おっちゃん、今日はありがとうなぁ。晩ごはんゴチっす。
ほな、また明日な。
バイバァ~イと手を振るあさみ。
翌朝、
おっちゃぁ~ん、おっはよぉ~。と走って来るあさみ。
おぅ、あさみちゃんおはよーさん。
おっちゃん行って来るわなぁ。
そんな日々が一週間位続いただろうか。
その頃、私は家庭内の事で少し落ち込んでいた。あさみの朝夕の挨拶が私の気持ちを少し和らげてくれていた。
ある日、あさみが学校帰りに
おっちゃぁん、あさみが家庭科で作ったクッキーあげるわ。
と、ピンク色のかわいい紙袋に入れて持ってきてくれた。
あさみちゃんありがとうな。
なぁなぁおっちゃん食べてぇな。
おぉ、一つよばれるわな。
少し焦げていたが、甘く香ばしいクッキーだった。
美味しいかぁ?
あさみちゃん美味しいわ。
良かったぁ。
5時になり、片付けをしていると、あさみが普段着でふらふらと歩いてきた
あさみちゃんどこ行くんや?
ん?暇やしぷらぷらぁ(笑
おっちゃんは?
今日は終わりぃ。帰るで。
なぁ…おっちゃん。
ん?何や。
私は車に乗ろうと仮設駐車場に歩き出した。
なぁ…。
どうしたんよ。
ん?別に…。
私の後ろをついてくる。
私が車に乗り込むと、あさみが、
なぁ…おっちゃん。聞いて欲しい事があるねんけど…。
ほな、横ん乗れや。
う、うん。
かなりテンションダウンのあさみ。
あさみちゃん、何か食べるか?
ううん。と左右に首を振る。
どっか行こっか。
ぅん。
車で30分ほど走ると海に出るので、たまに海釣りに行く所へ行く事にした。
山沿いの道から外れて小さい漁港へ行く道へ
途中、ヘアピンカーブで車を止めて休憩できる場所がありそこからは沖合いを航行する船舶が見える。
私は車をそこに止めて、あさみに、
おいで。って誘う
車中もボォーっと外を見たままのあさみ。
あさみの手をとり道から少し離れた海を見下ろす場所のベンチに連れていく。
あさみをベンチに座らせて後ろから両肩に手をかけ、
あさみちゃん、元気ないやんか。
解る?
わからいでか…おっちゃんにもあさみちゃんと同い年の娘いてるし、あさみちゃんと出会って1ヶ月は経つんやで
なぁ…おっちゃん。おかぁがなあさみの事をバカにしてやぁ…、腹たつしむちゃくちゃ言うたらあさみの事、シバきよってさぁ。ムカつくし家出てきてん。
クラスの男子から用事で電話あったんやけと、おとぅは居ませんって切りよるし…。
続く