プリクラの一件から、娘とのメールは2、3日間隔から毎日、多い時は日に数回まで増えていた。
なんて事ない挨拶から意味不明な絵文字だけとか(笑)
たまに家族の話もあり、以前と同じ様な
「いい子でいる」
事への、小さな疲れ(不満)がつらつらと書き送られて来たりもした。
オッサン~!
息詰まりそうだよ~
遊んで~
そんなメールも来たが、どう考えても、ホイ来た!、とは答られず、
近いうちにな、
とか
時間合う時にな、
等と、何とかつなぎ止める為の情けない返信を繰り返していた。
ある日曜日、DVDでも借りようか、と家人を家に残しレンタルショップに出掛けると、見慣れたアドのメールが入った。
あれ?日曜日って言うのは珍しいなぁ、と思いながら、Aからのメールを開くと…
Tさん(私の名前ですよ)、お暇ですか?
今家族と(だれもが知ってる某)ショッピングモールに来てます。
近くだったら会いたいです。
Aの事、嫌いに成らないでください。
なんだぁ?
メールで敬語ぉ?
いや、敬語のメールだ、なんだ?
急いで、どうした?と返信すると、
家族と一緒です。
楽しいふりが、苦しいんです。
と、レス。
いつものメールの明るい
オッサン~
では無く、顔を逢わせている時の様な言葉遣いに、欲情、もとい、同情を抱いてしまった。
頭をかすめる、家族と居る、と言う危険な信号を何とか打ち消して、
すぐに行く、着いたらメールする、と返信して、家人への言い訳用に適当なDVDを手にして車を走らせた。
20分かからない位でモールへ着き、メールを入れると、
書店の中の座れる所に居ます。
家族は妹弟達と他を廻ってます。
とレスが来た。
私は努めて冷静に
A、声はかけられないよ、御両親にも誰にも知られてはいけないAと私との仲なんだからね
とメールした
来てくれて本当に嬉しいです。
ありがとうございます。
Tさんの為なら、嘘は平気です。
そんなレスを見ながら、エスカレーターで書店へと向かった。
書店の中は日曜日らしく賑わっていたが、娘の姿を見つけるのは安易だった。
書棚の奥、店舗の外を見晴らせるガラス張りの一角
購入せずに本を読めるコーナー。
周りの大人や子供達とは違う、特別な「何か」を身に纏った娘が居た。
私は適当なビジネス書を手にして娘の居る席へ向かう。
生憎娘の対面には私と同じ様な歳ぐらいの女性が居たが、娘の隣の席が空いて居たので少し椅子を離し、席についた。
娘は、チラッと、こちらを見遣ると直ぐに本に向き直り、しかし極小さな声で
ありがとう。
と呟いた。
暫く本を読んでいる振りをしていた娘は、私がわざとらしく本に挟まっていた広告を床に落とすと、意味を悟ったのか、小さく頷いた。
対面の女性に会釈をして体を娘の方へ捻りながら床に手を伸ばす、出来るだけ身を伏せながら…
テーブル下から覗く娘の脚。
少し日に焼けたのだろうか、真っ白ではない。
しかし綺麗な淡い色。
広告を拾った指先を少しだけ触れる様に脚に走らせる。
小さく、ビクッと反応する。
失礼。
声にして再び向かいの女性に会釈。
余り気にしてない様子だ。
娘の顔を伺う。
視線こそ本に向かっているが、その顔は、
何回か見てきた、上気した目元
頬はゆっくりと紅潮して行く
肩がゆっくりと上下する
テーブルに置いた本に覆いかぶさる様にして体を娘の方へ向け、ページをめくる振りをしながら娘に見える様に本にかけていた指を開いてみる。
意味は充分伝わった様だ。
娘も僅かに身体を私に向きなおし、ゆっくりと脚を開いて行く。
今気付いた、娘のデニム地のミニが少しずつ、ジリジリとずり上がりだした。
タイト過ぎるのだろうか、延々と時間が過ぎる様な気がしたその時。
薄く日に焼けた脚と真っ白い太股の境目と共に、明るいピンク色のショーツが目に飛び込んで来た。