十年チョイ前の夏の事です。
当時、一般家庭の外壁塗装の営業をしていた私は飛び込み訪問に疲れ公園のベンチでサボっていました。
すると私の前を通過する中学生カップル。
見るともなく目で追ってると公園内の公衆トイレの前に自転車を止め二人がトイレに入って行きました。
私は『ん?』、『んん?』、『あれ?同じトイレに入った??』
当時、公衆トイレは男性同士のハッテン場になっていましたので障害者用も含め余りキレイとは言えませんでした。
それでも女性用トイレは比較的キレイでトイレットペーパーも悪戯されずに付いていましたからお金のない中学生にはもってこいの場所だったのかもしれません。
私はドキドキしながらも足音をたてずに女子トイレに入って行きました。
片側二つ、向かい合って四つある個室の一つが閉まっています。
何を言ってるか聞き取れませんでしたが男の子がぼそぼそと女の子に何かを言っていました。
私は『間違いない!ここでやる気だ!』と確信し、隣の個室に。
扉を動かすと音がして気付かれると思った私は扉を開けたまま隣の様子を伺っていました。
男の子『どこ?』
女の子『そこじゃないよ。こっち』
小声で聞こえる二人の会話に、『公園の個室で中学生が…。しかも隣で』と非現実的なシチュエーションに音が聞こえる位ドキドキ感が高まりました。
女の子『あっ、あっ、』
男の子『あぁ~もぉ…』
終わった事が分かった私は出てきた二人に見付かるのが嫌でトイレットペーパーが『カタカタカタ』と音がしてる内にトイレから出ました。
トイレから出ると二人の自転車が。
魔がさした私は女の子のピンクの自転車からリュック型のバックを持って自分の車に走っていました。
車に乗りバックの中をあさり、『名前や住所が分かる物はないか』探していました。
どうやら塾帰りの様でノートとチャック型の筆箱しかありませんでした。
諦めると用が終わった二人がトイレから出て来てバックが無いのに気付き辺りを探しています。
5分程探した二人は今度は自転車のとこで言い争い。
男の子は自転車に乗り帰って行きました。
残った女の子は一人で公園内を探しています。
車内でタバコを吸い終わった私は女の子のとこへ。
私『どぉしたの?』
女の子『えっ?ええっ?』
私『さっきから何か探してるみたいだから。』
女の子『あぁ。実はちょっと目を離したスキに自転車からバックが…。』
私『どんなバック?一緒に探してあげるよ。』
女の子『いえ、いいですよ。』
私『気にしないで。どぉせ、仕事サボってるんだから。』
女の子『そぉですか?それじゃぁ。リュック型のバックなんですけど。』
私『分かった。』
暫くさがしたけど見付からず(そりゃそぉです。私の車の中ですから)女の子はPHSで母親に電話をしていました。
5分程で自転車に乗った母親が公園に。
母親『何やってるの!』
女の子『だってバックが…。』
母親『無いのは仕方ないでしょ。帰るよ!』
女の子『分かったよぉ。』
キレ気味の母親に押され女の子は諦めた様に私のとこへ。
女の子『お母さんが帰るって言うから諦めて帰ります。一緒に探してくれてありがとうございました。』
さっきまで公園のトイレでやってたとは思えない礼儀正しい挨拶に私は『気にしないでいいよ。僕はもぉ少し探してみるから。そぉだ!見付かるか分からないけど、バックが見付かったら預かっとくから明日の今頃、ここに来てよ。』
女の子『ありがとうございます。』
女の子は何度もお礼を言って帰りました。
ごめんなさい。前フリで長くなっちゃった。