個別指導塾の小学生クラスはマイちゃんだけ。
教室一番奥の席に座らせ、背後から手を回し覗くように指導。
少女独特の乳くさい、人工的でない体臭に興奮する。
ヒントを出すと、あっ解った、とヒントを出す手に無邪気に抱きつき、動きを止める。
誤答すると、のけ反り、顔を胸に埋めて、深くため息をつく。
40分2コマ授業。最後10分は質問タイム。受験が近づくある日、落ち着かないと。
成績表などを見せ、大丈夫!と励ました。
「だけど…自信ないよぉ」
壁の偏差値一覧表を並び見ていて、抱きついてきた。
大丈夫だってと頭を撫でた。肩までの真っ直ぐな髪。鼻を押しあて、両手を回し抱きしめた。
その日はそこまで。受験日前日、マイちゃんが授業ないのに塾に来た。
「大丈夫って、この前みたいに…」
いつも通り教室一番奥で、抱きしめた。
いつもの乳くささと砂埃の匂いもした。風の強い日で身体が冷たかった。
おでこに軽くキス。突然のことに驚くマイちゃん。おまじない、と笑顔を見せると
「ありがとう」
更に強い抱きつき、深く息を吸い込んだ。
椅子に座り、膝にのせ学校案内を見た。腰に回した手を握るマイちゃんの手は温かくなっていた。