朝日が罪をあざ笑った
うっすらと浮かぶオレンジの雲に何らかの切なさを覚え家を出る
いつものことだ、手前の中学生の野球部員と毎回同じ時間に家を出てしまう
朝練だそうだ、アイツも俺もなんて几帳面なんだ、やつもそう思ってるに違いない
彼女は8時頃家を出る、すぐ近くの小学校までは5分もあれば十分だ
黒いワンピースに薄いピンクのジャンパーをかぶり手提げを片手に走っていく
いつもどうりつまんない奴らとつまんない仕事で一日は終わる
昼飯は食わない、なぜなら一人で食っても仕方がないのである
大学時代に戻りてぇなぁ、俺は精神学を選考していて、その成績を買われ
院生にもなり、精神学にのめり込んだ、医療専門だ
コンパもしたし、二輪部の連中と山の中を転げ落ちた事もいい思い出だ
通販で本を買った、2000円にしては分厚く評価も高い
この本はお遊びの本だ、人で遊ぶ本、催眠術である
精神学の中でも使っていたこの催眠療法を軽く手を加えて遊んだ事がある
前つとめていた精神病院の同僚は鳥になって3階から飛んでいった
転職したのはこれのおかげなのである
彼は今どうしているだろうか、空を見ても鳥はいない
読みふけったあの本とともに祝日を迎えた
彼女と接触できるだろうか、できたとしても僕の家まできてくれるだろうか
早すぎる朝を迎え、暇な時間を散歩で押しつぶす
と、彼女が手提げを持って後ろから走ってくる
え?学校かい?
彼女は白い息を吐きながらコクリと首をならした
あのさぁdsいるかい?
びっくりした眼鏡、通称びっくりメガネでこちらを見定めた
おじさんもうゲーム何かする歳じゃないだろ、だからさぁ整理しようと思ってさ
彼女は土曜日の朝を笑顔で走っていく
僕も走っていく、薄暗い野獣の住むいばらの森を
彼女が帰ってくるまで5時間というところか、それまでにいろいろ準備がある
まずろうそくだ、これはある、つぎにきらりと光るメダルがいる、次にチャーハンの材料
メダルは硬貨でいい、食材を買い出しにいこう
早すぎる買い物に早すぎる帰宅、つばがのどを通る
シャワーを浴びるが眼は野獣そのものだった
彼女が田んぼの中道を走る姿をいばらの隙間からのぞく
ぬっと、前足をあげ台所に立つ、料理が始まる
チャイムが鳴る、それは当たり前の事だ彼女がゲーム機をとりにくる
ぼくは包丁を鳴らしながら、遠くの方から高い声を出し彼女を招いた
ごめん、今手が離せないからさぁ、あ、ゲーム机の上に置いといたよ
彼女は丁寧に挨拶を済まし、するりと部屋に入ってきた
顔は小さくソフトボールぐらいだ、それに大きすぎるがよく似合う銀縁のメガネ
走って帰ってきたからかジャンパーは脱いでおり、ワンピースの肩から
長く白い節が朱色の腕がゲーム機にのびる、ここだな、このタイミングだ
いたっ!
びっくりメガネが僕を見たのと同時に彼女はこちらに来た
不安げな眼は夕日の中での時の眼に似ていた。
アクシデントにどう反応するかが問題だった、あと血を見せるという事
かのじょは忠実に反応し、血を見た、さらに僕の眼を見つめた、
これでUSBの接続は完了した、これでどんな情報帆入れてやろうか、
ばきばきになったあれがよだれを垂らす。