阿部先生にお会いする事になりました。 約束の日、喫茶店で待っていると
定時少し前に、先生が現れました。 昔の面影そのままですが、ソフトにな
ったと言うか、近寄りがたい感じはまったくしませんでした。 よく喋って
くれたし、よく聞いてくれた。 そして可愛らしい笑顔を、何度も見せてく
れました。 高校時代、見たことの無い笑顔です。
僕はすっかり先生の虜になってしまいました。 何とかデートの約束を
取り付け、二人で会うようになりました。 私と目が合うと、にこっと微笑
んで、小走りに近寄ってくる、可愛い女です。 僕は合うだけで幸せでし
た。 ですが元先生だったこともあり、半年以上経っても、手を出せないで
いました。 先生には指一本触れていません。
ある日思い切って、歩いている時先生の手を握ってみました。 先生は
びっくりして一瞬私の方を見ましたが、直ぐ俯いてしまいました。手は硬直
していましたが、私の手を振るい払おうとしません。 ああ、よかった!
私の心臓はパクパクドキドキでした。 それからは人通りの少ない所では、
自然に手を繋いだり、腕を組めるようになりました。 二人は加速がついた
ように接近し始めました。
再会から一年近く経った頃、私達は旅行に行くようになりました。ホテ
ルに着いて、近くを散策し、食事入浴を済ませると、裕子は急に黙りこくっ
て、不安そうに一人で椅子に座っていました。 私は近寄っていき、初めて
裕子をダッコしました。 裕子は恥ずかしがり、私の胸元に顔を埋めてきま
した。 「今夜は僕が先生で、ゆう子が生徒、それでいい?」と訊くと頷き
ます。 じゃ「先生(僕)の言うこと聞くんだよ!」と言うと「ハイッ」と
健気に返事してくれました。
恥ずかしがって、怖がっているのがよく判りましたので、 充分時間を
かけ、優しい言葉をささやき、スキンシップを続けました。 かなり長い時
間待たされましたが、やがて裕子は身も心も開いてくれました。 遂に二人
は結ばれました。 その瞬間裕子は小さい押し殺した声で悲鳴をあげまし
た。 全てに「うぶ」だったので、もしやと思いましたが、先生は矢張り
処女だったのです。 これには感激、感激、感激。 「ごめんね、痛かっ
た?」と訊くと「ううん、大丈夫」と首を横に振り、健気に答えてくれまし
た。とっても幸せでした。
今も続いています。幸せいっぱいです。 [完]