『シャワー』の翌日のことだ。おれはまだ発熱の余韻さめやらず、ふらふら
ではあったが、学校へ行くことにした。無論、授業に穴を空けたくないとい
う全うな思いが強かったからだが、もうひとつ、家にいるとまたいつ何時、
生徒の襲撃(笑)を受けるかわからんという思いもあった。とにかく学校
へ、出た。
昼休みに、嬉々として職員室のおれのところへやってきたのは、中等部2年
の怜美だった。こいつは今はおれの担任から離れているのだが、むしろ担任
から離れてから、やたらとまとわりつくようになっている。いや、まとわり
つくどころではなくて、人目をはばからず、抱きついてくるのである。こう
いうタイプも、たまにいて、廊下を歩くときは気配に敏感でないといけない
(笑)。なお念のために言っておくが、ウチの学校は偏差値60超でないと
入学できない。だがこういったアホなタイプはいくらでも、いる。
その日も、おれの隣の教員の席がたまたま空いているのを良いことに、そこ
に勝手に座り、キャスターをごろごろ動かしてぴったりおれにくっついてき
た。まぁいつもどおりのこととはいえ、くっつき方が尋常ではない。おれは
がにまたなので、いつもだらしなく脚を広げているのだが、おれの右足を、
両足でぐっとはさみつけてくるのである。おれの右足は怜美のスカートの中
にもぐりみ、スカートが少々めくりあがるが、怜美は何事もなさそうにスカ
ートをなおして、おれの脚を隠す。よほど観察しない限り、傍目には不自然
ではないのだ。
陸上部からも勧誘を受けているという怜美の脚力はものすごい。足が抜けな
いのだ。
一度突き放したことがあるが、アタマに来たらしい怜美は、両足を広げてお
れの膝に乗ってきた。体面座位ではないか。白昼の職員室でだ。幼さが残る
怜美でなければ大問題に発展しそうな姿である。もうあきらめて、膝頭が怜
美の股間の奥底に当たるのにまかせておくことにしている。
教科書のここが分からないのと言いながら、いや、質問なんてどうでもいい
のだ。怜美はもともとデキる。1分もあればどんな質問も氷解するタイプで
はある。残りの時間が怜美には大切なんだろう。
適当なことを言いながら、滅茶苦茶にタッチしてくる。タッチというより
も、つかみかかりに近い。がっちり握り締めてくる。腕であろうが首であろ
うが、はたまた股間でさえも、実に微妙にタッチしまくる。念のために言う
が、こちらが、ではない。生徒のほうがタッチしてくるのだ。だれか怜美を
止めてくれ(笑)。
ここで言っておいたほうがいいと思うが、おれは怜美の父親とほとんど年齢
が変わらん。たまに、父親不在の生徒なんかでそういうタイプはいるが、怜
美の父はきちんとした開業医であり、父親願望などがあるとは思えん。
その怜美が、やたらとおれに触れたがる。なぜなんだ?そういう生徒にお困
りのご同輩はおられませんか(笑)。
こいつはやたらと自分から、新しいブラを買ったのよだの、今日はビキニパ
ンツなのよだの、聞いてもいないことを、お前の質問に答えているおれの話
を聞いているのかいないのか、合間合間に話す。見て、と言って前かがみに
なって、胸の隙間を開いたことさえ、ある。なにを考えているのだ。職員室
だ。
それを、実にウマいタイミングで、オレにしか見えない角度できっちり見せ
る。
いきなり胸の隙間を開かれれば、ナニをし出すんだということで、つい目は
そっちへ行ってしまうというか、見てしまった(笑)。なるほどと思った。
めちゃ高級そうな、実に良い色合いの淡いピンクのブラだった。イタリア製
だとよ。さすが医者の娘。これは見せたくもなるなぁと思った。もっとも中
2である。サイズが合っていない(笑)。
小声で「おまえ、隙間から、まるごと見えてたぞ」と言ってやると、さすが
にスネた(大笑)。「いまに大きくなるもん。」と言った。
おれは当然、怜美のこのストーカまがいの行動はやめさせなければならんと
思っている。だから職員室じゅうに聞こえるように「さわるな」と叱ってや
ったこともある。
「たまたま当たっただけよぉ」などと抜かしやがって、こうなると、おれに
は手に負えん。そもそも、こういうストーカ行為をしてくる生徒は、怜美だ
けではないのだ。これはまたいずれ話す。
その怜美が、例の「シャワー」の翌日、いつもどおりおれにぴったりくっつ
いてきてこう言った。
「せんせい、おやじくさぁい!」
わっはっは。おれはあれから風呂に入っていないのだ。栄養をつけておこう
と思ってにんにく料理さえ食った。歯磨きさえも手抜きをした。ざまみろ怜
美。こういう手があったか(笑)。