迎えにきた車に乗り込むと祐二は肉マンが入った袋を差し出す。
「さっき、旨そうだったから」
「ありがと」
肉マンを頬張っていると祐二の手が膝小僧に延びてきた。
「今日は生でいい?」
伺うように聞いてくる。
「ねぇ…祐二」
「ん?」
「私ってセフレなのかなぁ…?」
絞り出した声が自分でも驚くぐらい震えていた。
「なに?肉マンだからすねてんの?」
「いやそんなんじゃなくて…」
「………」
短い沈黙が途方もなく長く感じた。
「あ~お前ってやっぱ天然」
「なにが?」
よくわかんない感情になった私はキレ気味にこたえる。
祐二は黙って車を発進させた。
着いたのは地元で有名な小さなカフェ。
「うまいコーヒーでも飲むか」
祐二はそう言って車を降りる。
ウッドデッキの席は寒いですよと心配そうに店員さんが声をかけてくれたけど、祐二はその席でいいと言った。
温かいカフェラテを2つ頼んだ。
ウッドデッキに装飾された綺麗なライトを眺めていたら、祐二が口火をきった。
「大事な話しは一度しか言わない」
「うん…」
少し息を飲む。
「俺は、ゆうなと結婚前提だと思ってる」
「……」
一瞬、理解出来なかった。
「え?え?」
「一度だけって言ったけど」
「うん…じゃあ彼女?」
「そうなるんじゃない?」
「なんか曖昧…」
「うるせー」
呆気にとられた私を尻目に祐二は伝票を持って立ち上がる。
「寒いから出よう」
私は、追いかけながら財布を出した。
「待って、自分の分…」
「たまにはかっこつけさせろよ」
祐二は、振り返り少し笑いながらこたえた。