祐二から久し振りに電話があった。
「ボーナス入った~」
「うん、私も」
「どっか行くか?」
「ちょっと風邪気味なんだよね」
「じゃ~取り合えず飯でも」
「うん」
近くの地下鉄の駅で待ち合わせする。
新品のブーツのせいか歩く速度があがらない。
駅に着くと、祐二はもう立ってた。
「ごめんね」
少し息を切らして駆け寄る。
「ブーツが新しくて…」
「いいね」
祐二は足下に視線を落とすとニカッと笑った。
改札を抜けてホームに並んで待つ。
お互いこの前の事には触れない。
「ゆうなは何食べたい?」
「おでんとかいいな、祐二は?」
「おでんでいいよ」
祐二がスマホでお店の検索を始めた。
連れていかれたのは、おでん屋とは思えない綺麗な店だった。
「ちょっと高そう…」
「大丈夫だって」
小声で言うとたしなめられた。
薄暗い店内にブルーの照明、jazzがかかっていた。
生憎店内は混んでいて、カウンターに並んで座る。
「おでん屋じゃないみたい」
「たまにはいいじゃん」
「そうだね」
祐二は、薄めの焼酎の水割りを頼んだ。
一時間ぐらいしてトイレに立ち戻ると祐二がミニスカートから出てる太ももを撫でてきた。
無言で食べてる私の横顔を祐二は見ている。
「今日…いい?」
大きい声ではないけど威圧感を感じた。
「あっ…うん」
私は頷いてしまった。