施設の入り口にある事務所風のログハウスで受付を済ませた。
いちおう親子で手続きしたけど何の問題もなかった。
かなり敷地内は広い。
ロッジとロッジの間隔が凄く開いているのも良かった。
時刻はまだ夕方にも早い時間で、とりあえず荷物を置いてからバイキングコースを散策した。
夜だったら夜景が綺麗そうな見晴台がゴールだった。
だいたいの客は河原に降りてバーベキューや釣りをするらしく、逆に上に登る客はいないのか誰も来てなかった。
夜に肝試しに来たら怖いかもしれないというと、sくんは面白がって来たいという。
心霊番組とかは必ずチェックするほど怖い系は好きらしい。
若い人って確かに怪談とか好きなイメージはありますね。
私はそれなら夕飯済ませたら来てみようかと言った。
実際、1人なら嫌だけど相手がいるなら肝試しも悪くない。
自然と腕を掴めたりもする。
さすがに懐中電灯の明かりを便りに狭い林道を上がっていくのは迫力あったけど。
でも、それで私達が遭遇したのは幽霊ではなくカップルだった。
昼間私達がくつろいだ見晴台の東屋でカップルが濃厚なキスを交わしていた。
道中、もしかしたらその手の輩がいるかもと警戒して、近づくにつれ無言になっていたから向こうはこちらには気づいてない。
カップルのキスはそれで終わるようなキスではなさそうで、私達は後退りして道を引き返した。
でも、私的にはこれは良かったかもしれない。
なんとなくくつろいだ雰囲気になっていた私達の空気感をそっちに切り替えるきっかけになったのだ。
私は戻りながら小声で凄かったねと言った。
行きの車の中の会話で、私と出歩けるくらいならお母さんとも出掛けたりするか聞いたら、やっぱり親だと嫌だと言う。
そんなものかと思った。
でも、お母さんにこんな二人で出掛けてるなんて知られたらオバサン殺されちゃうねと告げた。
どうしてですか?
やっぱり嫌でしょ、息子を取られるような気がして。
ましてや自分と同年代なんだから。
殺されはしないと思いますけど。
そうsくんは呟いて笑った。
でも、親じゃなければあんまり年は気にならないんだ?
そうかもしれません。生理的に苦手じゃなければ全然。
sくんはオバサンくらいの年の女にモテるよ。
ホントですか…?
本当…オバサンにモテても嬉しくないかもしれないけどね。
私がもし親だったら物凄く嫉妬してると思うな。
この状況。
そんな会話をしていた。
だから、その続きで、戻ったら一緒にお風呂はいろっか?
背中流してあげる。
ううん、流したい…オバサン。
私はポンポン言葉が出てきました。
これも旅行に出てテンションが上がっていたのかもしれませんね。
sくんは素直に、お願いしますと言いました。
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