「……中、見せてください。僕、もう、これ見ないと帰れなくて……」
震える声で、なかば強引にボタンを外そうとする彼。その指先が私の肌に触れるたび、彼自身の熱が伝わってくる。でも、私はふっと冷静になって、彼の目をまっすぐに見つめた。
「……大きい声、出しますよ?」
毅然とした、でも静かなトーン。
その言葉が耳に届いた瞬間、彼は文字通り「ビクッ!」と肩を跳ねさせた。
ボタンにかけていた指が止まり、顔からは一気に血の気が引いて、眼鏡の奥の瞳が泳ぎ出す。
「あ……っ、いや、それは……すみません、僕は、その……っ」
さっきまでの必死さはどこへやら、彼はおどおどしながら私から一歩距離を取ろうとした。
「通報される」「人生が終わる」……そんな不安が頭をよぎったんやろうね。情けないくらいに震えだした彼を見て、私は少しだけ可笑しくなった。
「ふふっ……嘘ですよ」
私は一歩踏み込んで、彼の震える手に自分の手をそっと重ねた。
驚いて固まる彼を見上げて、私はとびきり優しく、小悪魔みたいに微笑んであげる。
「そんなに怖がらなくても、いいですよ。……特別に、許してあげます」
私は彼の目を見つめたまま、自分の手で三つ目のボタンに指をかけた。
「……っ!」
彼が短く息を呑む。
今度は恐怖じゃなくて、期待と興奮で彼の顔がまた赤く染まっていく。
「続き、見たいんでしょ? ……静かにしてくれるなら、いいですよ」
冷たい冬の夜、誰も見ていない駐車場の隅。
私の指がボタンを解くたびに、彼の視線が、私の肌に吸い寄せられるように熱くなっていくのがわかった。
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