あれからまだ1週間しか経っていませんでした。
再びレンタカーを駆って、先週と同じあの場所を目指している自分がいます。
今日も猛烈な暑さになっていました。
車内でハンドルを握っているだけで日差しの強さを感じます。
あれ以来、完全に不憫な感情の虜になっていました。
(よしあった、ラッキー)
先週、川でビキニを失くしてしまった私です。
時間をつくれなかったせいもあって、その後に新たなものを買うことができていませんでした。
だから、今日は水着を用意できていないままで出発してきてしまっています。
ちなみに先週の白ビキニは某量販店で買ったものでした。
道すがら、その同じお店の看板が出ているビルを目にしたのです。
(もうお店やってる)
(買っちゃおう)
時間がもったいなかったので、迷うことなくまったく同じものを購入しました。
すぐ使えるようにタグ等はぜんぶ取ってもらいます。
(よし、もう手に入った)
(ツキがある)
再び運転すること数時間・・・
ようやく辿り着こうとしていました。
(われながら馬鹿だな)
(私って)
2週連続でこんな遠いトコまで来るなんて・・・
ほんと、どうかしてるよ・・・
二股の分かれ道が見えてきます。
本道から外れて、川により近い側のわき道に入っていきました。
そしてさらに上流方向へ・・・
交通量がほぼゼロの道をひたすら走っていきます。
(ん・・・なんだろ?)
先週のあの場所に向かっていく途中で、多くの自転車がとまっている場所がありました。
それを見てゆっくりブレーキを踏んでいる私です。
道端に駐車しました。
(どきどきどき)
ただでさえ、ターゲットとなりえそうな人をみつけるのが難しいこのあたりです。
何かあるのかと思って気になりました。
車から降りて、ガードレールに歩み寄ります。
川を見下ろしました。
(ああ、ここは無理)
高校生ぐらいの男の子たちが川で大騒ぎしながら遊んでいるのが見えます。
人数は、5,6,7・・・
ぜんぶで7人いました。
海パン姿でバシャバシャ楽しそうに泳いでいます。
(ぜんぜんだめだ)
(早く先週の場所に行こう)
車内に戻りました。
発進しようとしましたが・・・
違った意味で、ちょっと後ろ髪を引かれます。
なんかああいうの、いいな・・・
あの子たち、すごい『青春』って感じ・・・
まさにそんな古臭い言葉がぴったりの光景を目にしたせいで、意味もなくセンチメンタルな気分になります。
そして、無性に『撮りたい』という欲求にかられました。
エンジンを切ります。
(すごく楽しそうで)
(キラキラしてた)
私が趣味にしていることのひとつに写真撮影があります。
風景の写真を撮るのが好きでした。
だからそのために旅に出たり、わざわざ山に登ったりすることもあるぐらいです。
人物を被写体にすることは普段はまったくありませんでした。
でも・・・
(撮ってみたい)
(あの子たちのこと)
はるばるここまで訪ねてきた目的とは全然違います。
でも、もうその気持ちはとめられません。
もちろん、愛用のカメラなんて持ってきていませんでした。
でも、ボストンバッグの中には古いミラーレスデジカメが入れっぱなしになっています。
半月ぐらい前に充電したきりでした。
それでも多少は撮れるはずです。
(だめもとで撮らせてもらえないか)
(お願いしてみよう)
車から降りました。
カメラひとつだけを持って、あとは手ぶらです。
(暑っつい)
ガードレールをまたいで下の河原へと下りていきました。
カメラを持って近づいてきた大人の姿に気づいた彼らが、バシャバシャ泳ぎながら私のほうに目を向けてきています。
みんな楽しそうでした。
ひとりだけ、泳ぎ疲れた子(?)が河原でにこにこしています。
その男の子に声をかけました。
「こんにちはー」
写真を趣味にしている者だと告げて、みんなのことを撮らせてもらえないかと尋ねます。
楽しくてしょうがないというテンション高めの男の子たちが、
「いいよ!撮って撮って!!」
笑顔を返してくれました。
なんというか・・・本当にみんな朗らかでいい子たちです。
「ピピっ、ピピっ・・・」
何枚も撮らせてもらいました。
私は彼らの自然体の表情を収めたかったので、そういう姿が垣間見えた瞬間を逃しません。
チャンスと思えば躊躇わずシャッターを押させてもらいました。
「ピピっ、ピピっ、ピピっ」
お盆もとっくに過ぎたというのに、今日もとんでもない暑さです。
噴きだした汗がだらだら首から流れていました。
楽しそうに川遊びをしている男の子たちにカメラを向けながら、私の傍らで休んでいる彼とおしゃべりします。
「ピピっ・・・ピピっ・・・」
高校の部活の仲間で遊びに来たとのことでした。
てっきり運動部かと思いましたが、そうではなく〇〇部だそうです。
「それにしても」
「暑っちいねえー」
私のそのひとことを聞きつけたひとりの子が、
「じゃあ、いっしょに泳ごうよ!」
ハイテンションで誘ってきました。
もちろん断りますが・・・
内心、ぽーーーっとなる自分がいます。
正直に書きます。
こんなに若い子たちに同列で声をかけてもらえたことが嬉しくてなりませんでした。
外見の若さには自信のある私です。
30歳手前ぐらいに見えているという自負はありました。
だけど、たとえそうだとしても・・・
この子たちの世代からすれば、けっきょく私なんておばさんであることに変わりありません。
「えー遊ぼうよ」
「すげえ気持ちいいよ!!」
ほんと、年甲斐もなくどきどきしました。
まさに10代の『夏』を謳歌している彼ら・・・
彼らのまっすぐな瞳を目の当たりにしながら、自分の高校時代を思い出します。
(内気で人見知りな私なんて)
(この子たちとはぜんぜん違った)
「えー、むりだよ、水着じゃないし」
「私、泳げないし(嘘です)」
「遊ぼうよ!」
「泳げなくても大丈夫だよ!」
内心、私も泳ぎたくてなりませんでした。
でもさすがに勇気がありません。
いくら若く見えると言っても、実年齢はもうアラフォーの私・・・
高校生と水遊びするなんて恥ずかしすぎでした。
それに、水着だって車の中に置いてきてしまっています。
(いちど戻る?)
(そしたら水着はある)
そのときよこしまなイメージがよぎりました。
水着じゃなくても下着で・・・
(ああ、やばい)
高校生の前で下着姿?
不埒な衝動がわきあがってきます。
(あああああ)
(我慢できない・・・)
「えー・・・よーし!」
笑顔を向けていました。
葛藤する心に抗いながらカメラをそっと地面に置きます。
(だめえ、だめえ)
(みんな見てる)
スニーカーと靴下を脱ぎました。
ノリのいい『お姉さん』になりきって、
『ばっ』
Tシャツを脱ぎます。
「うおー」
男の子たちが嬌声を浴びせてきました。
思いきりのよさを見せて躊躇いなくショートパンツも下ろしている彼女です。
下着姿になっていました。
上も下も、ごくごく普通の白い下着です。
(どきどきどき)
読んでくださっている方に信じてもらえているかわかりませんが・・・
高校生たちの前でも、年上の『お姉さん』で通用している自分がいました。
彼らの目が釘付けになっています。
「なによー」
「あんまり見ないでよー」
笑顔をふりまいていました。
本当は死にそうにひざが震えています。
でも、そんなことはおくびにも出しませんでした。
にこにこしながら、脱いだ服をスニーカーのところに置いていると・・・
「プロのカメラマンですか?」
「今いくつですか?」
あちらにいたテンション爆上がりの子が大声で質問してきます。
「違うよー」
「カメラは趣味なのー」
自分の容姿の若さと美貌の力を信じました。
照れまくりながら、
「えーー27歳、大学院生!」
あっけらかんと大嘘をついてみせます。
(どきどきどき)
私自身、年齢でここまでサバを読んだのは初めてでした。
でも誰ひとり怪訝な顔を向けてくる子はいません。
まさにこのとき・・・
心の奥底に潜んでいたもうひとりの『私』の自我が、おばさんから『キレイなお姉さん』へと完全に切り替わっていました。
水着代わりの下着姿のまま、
「じゃば、じゃばっ」
はだしで水辺に入っていく私・・・
笑顔をはじけさせます。
「ひーーーー冷たい!」
「無理ーー!」
男の子たちがふざけて、
『ばしゃばしゃばしゃ!!』
ここぞとばかりに一斉に水をかけてきました。
「きゃあーーー」
四方八方から冷水をかけられて身をすくめる彼女・・・
逃れようと自ら清流の流れに入っていきます。
「ざばっ、ざば」
最高の気持ちよさでした。
一瞬にして汗が洗い流されていきます。
「冷たーーーい」
「最高ーーー」
日々のまとわりつくような暑さが嘘のようでした。
いつものひとりぼっちの水浴びと違って、大勢の中の一員に加えてもらえた幸せもあります。
ハイテンションの彼らといっしょにしばらく川遊びしていました。
「お姉さん、パス!」
川の中でのビーチボールの投げ合いが楽しくてなりません。
「きゃーー!」
「ちょっとー!」
心の中では、どこかで後ろめたい気持ちもありながら・・・
10代のときに自分が得られなかったものを、今になって取り返しているような感覚でした。
みんな本当にいい子たちです。
ひとときのことだとわかっていてもすごく幸せでした。
(高校生のとき)
(こんな毎日を送ってみたかった)
それこそ時間を忘れて、
「きゃーーー」
8人仲良く川遊びしている私たちです。
澄みきった清流の中にいて、最高の夏を感じていました。
水面に転がったビーチボールを追いかけて水をかきわけます。
「ざばっ、ざばっざばっ」
川の中で遊んでいると、下着なんてまったくと言っていいほど役立たずでした。
水流で何度もブラがめくれそうになります。
からだを動かすたびに水の重さでずり落ちそうになるパンツ・・・
油断するとすぐに『半けつ』状態になりそうでした。
しょせん、普通の下着が水着の代わりになんてなるはずがないのです。
「お姉さん、彼氏はー?」
「うるさーい」
「そんなこと聞くなー」
胸が出そうになるたびに、
(きゃっ)
手で直している私・・・
高校生にはじゅうぶん刺激的なようでした。
左にいる男の子なんて、私にばっかりボールを投げてきています。
自分の中で、背徳的な感情が爆発的に昂っていきました。
(どきどきどき)
ばしゃーっ!
「なんだよー」
うわーー
今度は、盛大に水かけ合戦がはじまります。
みんな大はしゃぎでした。
いたずらで、わざと顔を狙って水をかけてくる彼ら・・・
「きゃーー」
私は最高の笑顔を見せながらざばざば逃げようとします。
ああ・・・だめ、私・・・
みんな許して・・・
水流に一瞬足を取られたかのように装っていました。
腰ぐらいの深いところにいって、
わざと『どぼっ』・・・
いきなり胸まで水中にはまります。
その瞬間、自分で素早く背中のホックを外していました。
水中でお尻半分までパンツをずり下げます。
「っぷ、わっぷ」
両腕をばしゃばしゃさせて、もがくふりをしてみせました。
「がぼがぼっ」
本当の私は泳ぎが得意です。
完全に演技でした。
すかさず男の子たちがつかまえにきてくれます。
「大丈夫っ?」
手を引くようにして、男の子たちが川からあがらせてくれました。
ブラのホックが外れていて胸が露わになっています。
みんなの視線が突き刺さっていました。
大量に水を飲んでしまったふりの私・・・
笑顔から一転して顔面蒼白の表情になってみせています。
他の男の子たちも一斉に集まってきていました。
川べりまであがったところで、
「ごほっ、げほっ」
力なくひざまずいてしまいます。
(ひいいいん)
水を含んだパンツが太ももまでずり落ちてしまっていました。
ひざまずいたまま両手を前について、
「げほっ・・・げほっ・・・」
水を吐くふりをします。
(いやああ、見ないで)
(恥ずかしい。。。)
27歳の『彼女』にとって、耐えがたい格好です。
男の子たちがいっぱいいる前で・・・
半けつどころかお尻まる出しでした。
(ひいー)
うずくまっているお姉さんの後ろから、男の子たち全員が彼女の『股の割れ目』を目撃しています。
羞恥の快感に脳みそがとろけそうでした。
つらそうに両手を地べたについて、
「げほっ、うぇっ」
お尻が思いっきり左右に開き切っています。
見た目はいかにも清楚そうな、大学院生のお姉さんなのに・・・
(ひいいん、かわいそう)
(私、かわいそう。。。)
それでもなんとか、よろよろ立ち上がるふりをしてみせました。
まだかなりつらそうな彼女です。
ようやく立ち上がったものの、完全にずり落ちてひざの間でぴーんと張っているパンツ・・・
下半身まる出しのまま、ひしゃげたアンダーヘアが肌にぺったり貼りついていました。
「嫌あぁ、見ないで」
自分が視線の餌食になっていることを認識して、
「いやあー、嫌ああ、恥ずかしい」
慌ててパンツを引っ張りあげますが・・・
首からぶらさがったまま背中にまわってしまったブラには、なかなか手が届かないふりをします。
とうとう泣き出してしまう彼女でした。
「いやんいやん見ないで」
「こっち見ないで」
この子たちの前では、あくまでも27歳の大学院生です。
ブラが留まっていないその状態のまま、
「いやあああ」
自分のTシャツを拾い上げて頭からかぶるように着ていました。
(どきどきどき)
まさに迫真の演技です。
高校生の彼らが喜びそうなことを言葉にしてあげました。
涙ぐみながら、
「誰にも見られたことないのに・・・ないのに・・・」
奥歯をかみしめているお姉さん・・・
ショックのあまり彼らの顔を見れなくなっているふりをします。
(こんなにキレイなお姉さんが)
(初めて人におっぱい見られたんだって)
見れてよかったね、すごいじゃん君たち・・・
下半身はびしょびしょのパンツ一丁のままでした。
泣きながらスニーカーに足を突っ込んで、カメラと靴下とショートパンツを手に持ちます。
彼女自身は何も悪くないのに、
「ごめんなさい、ごめんなさい」
何度も彼らに謝りながらその場から離れていきました。
その中途半端な身なりのまま、逃げるように斜面を道路へとあがっていきます。
(ひいい、ひいいいーー)
ガードレールをまたいで道を渡りました。
ああ、私・・・
(あんな純粋な男の子たちに)
なんて悪い人間なんだ・・・
自分の本当の年齢を思うと、死にたくなるほど強烈に後ろめたい気持ちです。
でも、すさまじい高揚感を得ていました。
自分で自分を抑えられません。
(きっと来る)
(早く、今のうちに)
読めていました。
急いで運転席のドアを開けます。
(早く・・・)
このカメラには動画撮影機能がついていました。
録画状態にして、車内のある場所に置きます。
画角を考えて・・・狙ったあのあたりにレンズが向くようにしました。
(よしっ)
車のわきにしゃがみ込みます。
と同時に、
(あああ・・・)
やはり予想どおりでした。
お姉さんのことが気になって、そーっと斜面を上がってきた男の子くんたちです。
ちょうどガードレールのところでした。
路面との下の隙間から顔を出したのが見えています。
その彼らが目にした光景は・・・
(どきどきどき)
車のわきのところにうずくまって、彼女がひとりで泣いていました。
羽目を外して川遊びなんかしたせいで、他人にあんな恥ずかしい姿を見られたのです。
後悔して落ち込んでいる様子なのが一目でわかりました。
両手で顔を覆ったまま、嗚咽しているかわいそうなお姉さん・・・
(どきどきどき)
距離的には10メートルぐらいでしょうか。
ガードレールの下に彼らの顔が並んでいるのがわかりますが、そのことにまったく気づいていないふりをしてみせています。
(4,5,6,7・・・みんないる)
(全員わたしを見てる)
あんなに楽しく川遊びをしたのです。
彼らのうちの誰かが、心配して声をかけに来てもおかしくありません。
そうなってしまわないうちに・・・
泣いていた顔をあげて、手で涙を拭ってみせました。
いつまでもこんな格好ではいられない・・・
ちゃんと服を着なきゃ・・・
そんな感じでふらふら立ち上がります。
周りに人の目がないかきょろきょろ確かめるふりをしました。
(ああ、だめ・・・)
(私、わたし・・・)
最高のシチュエーションです。
じーっと覗き見されている自分が快感でした。
(だめえ・・・)
周囲を気にするふりをしながら、おもむろにTシャツを脱ぎます。
お姉さんの胸が露わになっていました。
見られているとも知らずに、首からぶら下がっただけのブラを外しています。
(ばくばくばく)
後部座席のドアを開けました。
ボストンバッグから、急いでスポーツタオルとボディクリームのボトルを取り出します。
視線を浴びているのを感じていました。
おっぱいまる出しのまま上半身をタオルで簡単に拭いてみせます。
(あああ、いじわる・・・見ないでえ)
彼女は、ここがほとんど車が来ない道だということを知っているようでした。
だからといって悠長にしているわけではありません。
誰かが通りかかったらどうしようと焦りまくった表情で、終始きょろきょろしています。
(ああ、私・・・恥ずかしいよう・・・)
大急ぎで髪も拭きます。
タオルでもしゃもしゃもしゃ、
(あああん。。。。)
貧弱な左右の胸をみんなの前でふるふる揺らしてみせて・・・
被虐的な快感に興奮している『私』がいました。
(あああ、私は悪くない。。。)
さっきの河原のときとは違います。
いまお姉さんを覗いているのは、彼ら自身の意思によるものでした。
何も気づかずみんなの前で晒し者になっている私は、最高にかわいそうなシチュエーションです。
(ひいいいん)
下着のパンツもびちょ濡れです。
タオルを腰に巻きました。
まるで小学生がプールの時間に着替えるときみたいに隠しながら・・・
タオルの中に手を差し込んでパンツを下ろします。
(あああん)
(超見られてる)
すべて計算ずくでした。
足首から抜こうとしたパンツがスニーカーに引っ掛かってしまうふりをします。
スニーカーもいっしょに片足ずつ脱ぎながら、
『ぼとっ、ぼと』
パンツを足首から抜いてみせました。
その無理な姿勢のせいで、腰に巻いていたタオルの結び目がぱらっと解けてしまいます。
(ひいいいん)
タオルを手に持ち替えていました。
焦りまくりを装いながらも・・・
再び腰に巻くのではなく、全裸のまま大慌てで脚を拭いてみせます。
自虐の興奮に頭の中が真っ白になりそうでした。
(ひゃああああー)
本当の私は、某会社に勤める普通の会社員です。
真面目そのものの女でした。
その私が、10代の男の子たちが見ている前で正真正銘すっぽんぽんでいるのです。
内心、自虐の快感に身悶えそうでした。
職場の同僚女性たちの顔が次々によぎります。
彼女たちの中で、生涯こんな恥ずかしい経験をすることのある人間がいるでしょうか。
この興奮を味わうことのできる私は特別でした。
脳がふわふわになりそうです。
(死ぬ・・・死ぬ・・・)
恍惚となりながら演技していました。
急いでもう片方の脚も拭こうとして・・・
足もとに置いていたボディクリームのボトルに、誤って思いっきり足をぶつけてしまうふりをします。
脳の中で快感がどばどばあふれていました。
(だめえ、だめえーー)
アスファルトの路面を滑るように転がっていく丸いボトルを追いかけて、
(あ、あああ、ああーー)
道の真ん中までいく私・・・
タオルは手に持ったままの素っ裸です。
オールヌードの大人がどこも隠さずに駆け寄って来る姿を、彼らに披露してやりました。
何も知らないお姉さんは、男の子たちのすぐ目の前でボトルを拾って車に戻っていきます。
(ひいい、ひいいいいー)
もう本当に限界でした。
クリームをからだにつける余裕なんてありません。
下着なしで、手早くショートパンツとTシャツだけを身につけます。
素足をスニーカーに突っ込みました。
次の瞬間には車に飛び乗ってエンジンをかけています。
(どきどきどきどき)
(どきどきどきどき)
ごめんなさいごめんなさい・・・
わざとやったの、ごめんなさい・・・
シフトをドライブにする手が震えていました。
自分が冷静でないのがわかります。
(どきどきどきどき)
事故でも起こしたら大変でした。
必死に気持ちを落ち着かせながら車を発進させます。
(だいじょうぶ、もう大丈夫だから)
(しっかり前を見て)
上流方面へと車を走らせました。
やがて、先週のあの場所が見えてきます。
道端の狭いスペースに車をとめました。
エンジンを切らずエアコンを強風にしたまま、シートに身を沈めます。
嗚咽していました。
一気にあふれだした涙がとまらなくなります。
(私だって、私だって・・・幸せになりたい・・・)
車内でひとり泣いている私・・・
周りには誰もいませんでした。
(続く)
区切りがいいのでいちどここで切ります。
(PS)
ここまではすぐに書いてあったのですが・・・
その後、仕事が忙しかったのでそのままになってしまいました。
実際のこの日からは、もう半月近く経ってしまっています。
細かい部分の記憶が薄れかけてきていることもあり、続きはもう書かないかもしれません。
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