かなり歩いていった先で、地下道の分岐を横へと曲がります。
例のカフェの窓が見えてきましたが、
(あ・・・)
もうその席には座ってしまっている人がいるようでした。
(なんだよ・・・あの席とられてる)
(えー、まじで)
そのまま歩いていって、カフェのガラス窓の前を通り過ぎます。
新聞を読んでいるおじさんでした。
窓の向こうの店内は、おそらくまだ混んでいないはずです。
(とにかく入ろう)
(そのうちにあの席も空くかもしれない)
地下通路の突き当たりを左に曲がって階段を上がっていきました。
地上に出ます。
そのままカフェの入口へ・・・
コーヒーをオーダーしました。
1階の席は、まだお客さんがまばらにいる程度です。
(窓際作戦・・・)
(この前みたいにうまくいくかな)
コーヒーを受け取って、レジ横の階段を下りていきます。
新聞を読みながらコーヒーを飲んでいるそのおじさん以外は、誰もいませんでした。
わかっていたことですが、
(よりによって。。。)
ガラス窓が地下通路に面しているあの席に座られてしまっています。
しかたなく別の席のテーブルにトレイを置きました。
(しょうがない)
そのうちこのおじさんも帰って、その席も空くでしょう。
とりあえず待つしかありませんでした。
それまでに店内が混んできてしまったら諦めざるをえません。
忸怩たる思いにかられますが仕方のないことでした。
(わざわざ〇〇から)
(電車を乗り継いで来たのに)
ミニリュックを隣の席に置いて、レインコートを脱ぎます。
新聞の紙面に目を落としていたおじさんが顔をあげていました。
私のスカートの短さに目を奪われたかのように、こっちをじっと見ています。
私のこと、
(どきどきどき)
すごい見てる・・・
それだけでいい気分でした。
超ミニなんかはいていて普段の自分とはまったく違うファッションでいる私です。
そんな些細なことだけで、
(いやだ・・・見ないで・・・)
太もも、恥ずかしい・・・
そして、当たりまえのことに思い至りました。
私は、前回と同じパターンを意識しすぎて固定観念にとらわれていたのです。
べつにあのやりかたじゃなくたっていい・・・
(はるばる来たのに)
(このままコーヒーだけ飲んで帰るなんて)
現時点で地階席にいるのは、私とこのおじさんだけでした。
すでに視線を浴びている状況にありながら、他に邪魔する人は誰もいないシチュエーションです。
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