下の話は、わたしが48歳のときの話なんですよ。
この集落から少し離れたところに、太平洋戦争で
戦死した方たちの墓地があるんですね。
犬の散歩をしているときに、周りが、木々で囲まれていて
90歳のお隣さんに聞いてみると、この村から出征した
若者達のお墓って教えてくれたのです。20ぐらいのお墓です。
この国のために戦死した若者達、まだまだやりたいことも
たくさんあったのに、かわいそう。って思い、
わたしは、犬の散歩の途中でたびたび寄るようになり、草むしりや
お墓の掃除をしたのです。
19歳から27歳までの若者だそうです。
「この中には女を知らない若者もいるのかなあ?」って
考えてしまいました。
真夏の暑い日に、お墓の掃除を終えると、わたしは
服を全部、脱いで、素っ裸になったのです。
「よくみて、女の裸だよ」って「日本のためにありがとうございます」
わたしは、お辞儀をして家に帰ったのです。
もう、夕暮れで暗くなってきています。
途中大きな岩があるのですが、わたしは、そこで
ちょっと休憩をしていると、見たこともない若者が二人、
立っているのです。一人は、映画で見たことのある陸軍の軍服を
着ているのです。「ありがとう」って、わたしは、びっくり。
鳥の鳴き声が上から聞こえて、上を見て、再び
二人の方を見ると、その姿はいませんでした。
不思議と怖さはありませんでしたが、
わたしは、手を合わせて「ゆっくりとお休みください」って
念じたのでした。
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