「こんちはー!」
すりガラスの向こうから、男性の声とともに、人影が近づいて来た
私は、開脚したまま動けずそのままの格好だった
ガラッと窓が開いた
男性と目が合った
「け、けいこさん…!」
男性は私を見るなり、右手を口にやり驚いている様子
「ひろし、良い所に来たねえ」
と、おばあさんがにこにこしていた
ひろしさんというお名前なのか
おじいさんが立ち上がり私に近づき、「けいこさん、ひろし君だよ、覚えているかい」と言った
私は首を振り、ひろしさんを見た
写真のけいこさんと同年代くらいだろうか
「けいこさん!まさかまた会えるとは…」と、言いながら、私の全身をまじまじと見ていた
なんだろう、これは…
外を見ると、ひろしさんが乗ってきたトラックに、飲料会社の名前が記載されていた
ここの自販機を管理している人なのか
「ひろし君、また見てやってくれないか」
おじいさんはそう言うと、杖で私の胸元を指した
すると何故か私は、カーディガンのボタンを自ら外していた
私はだんだんと、けいこさんがどんな風にして過ごしていたのか妄想しながら、頭の中が白くぼやけて、身体が熱くなり始めていた
おじいさんとおばあさんの穏やかな雰囲気と、写真の中のけいこさん、部屋に立ち篭めるお線香の香りが、私の日常を忘れさせる
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