エンジンをかけて、車をスタートさせます。
国道へと戻っていく道を、途中から反対側へ向かう林道に入っていきました。
ほんの10分ほどで、2つめの目的地が近づいてきます。
もうひとつの思い出の場所へ・・・
いくつかの分かれ道を経由して、どんどん山の中へ入っていきました。
そのまま、最終的に行き止まりになるところまで進んでいきます。
(よし、もうすぐ)
原付のスクーターが4台も並んで駐車してありました。
部品が派手な蛍光色のものに替えてあったり、シールがべたべた貼ってあるのが見えます。
それを眺めながら、ちょっと嫌な予感がしました。
(人がいる)
(しかも、ヤンキー?)
なおも直進して・・・
ちょっと広くなっている場所に車を停めます。
ついてないなあと思いました。
この先には、よく知っている『沢』があるのです。
夏場でもなければ、めったに訪れる人などいないはずの場所なのに。
(せっかく来たのに)
(ここだって、もう二度と来ることはないのに)
いちおう、行くだけは行ってみようと思いました。
荷物を準備して、トートバッグを肩にかけます。
(いつか来たときみたいに)
(太陽の光を浴びながら、全裸になってオナニーしたい)
ここに来たのは、そう思ってのことでした。
もちろん、ひとりっきりになるチャンスがあったらの話です。
(よし、行こう)
少しでも邪魔が入りそうなら、何もしないでそのまま帰るつもりでした。
森の中を進んでいく自然の細道を歩いていきます。
(懐かしいな)
初めてここに来たのは、高校時代の部活の合宿のときでした。
そして・・・
あれは、もう何年前のことになるでしょう。
この先にある沢で、小学生の子どもたちといっしょに水遊びをしたのは。
(いい天気・・・)
数分も歩いていくと、せせらぎの音が聞こえてきました。
雑木林を抜ける少し手前の場所から、沢の様子をそっと窺います。
(ああ、あそこにいる)
想像とは違って、女3人と男1人の組み合わせでした。
高校生ぐらいでしょうか。
(なんだあれ)
(たいしたことない)
一瞬にして、あの子たちのことを見抜いていました。
いわゆる、格好つけて『不良ぶっている』だけのタイプです。
特に、あの男の子・・・
(使いっぱしりなんじゃないの?)
他の女の子たちと比べても、明らかに違和感を覚えるぐらい普通です。
(ひょっとして、これって)
(チャンスなんじゃない?)
いきなり、邪なイメージが浮かんでいました。
自分の中で、もうひとりの『いけない私』が目を覚まそうとしているのを感じます。
(できる?)
(・・・難しそうだな)
その『イメージ』が、頭の中でどんどん膨らんでいました。
つられるように、衝動がわきあがってきます。
次の瞬間には・・・
踵を返して、早足に車のほうへと戻っている自分がいました。
(ああん、したい)
(どきどきさせて)
リスクがゼロなわけじゃありません。
とにかく、チャンスを逃したくないという一心でした。
(とりあえず)
(相手がどんな子たちか、ちゃんと見極めないと)
本当にするかどうかは、そのあとから判断すればいいのです。
車のトランクを開けました。
念のため予備として持ってきておいた、安物の服を取り出します。
胸がどきどきしました。
周りに誰もいないことを確かめて・・・
素早く、そのチュニックとスカートに着替えます。
もともと着ていたシャツとジーンズを、トートバッグの中に押し込みました。
あらためて、もういちど荷物を整理します。
失くしたり奪われたら困るようなものは、すべて車の中に戻しました。
万一に備えて・・・
車のキーも、ある場所に隠しておきます。
再び、沢へと向かいました。
(まだ帰らないでよ)
どこまでできるかなんて、正直なところ自分でもわかりません。
さっきのイメージを、何度も頭の中でシミュレーションしていました。
私の演技力をもってすれば・・・
(でも、やっぱり厳しいかな)
4人もいるあの子たちを、うまく誘導できる自信がありません。
すべては、展開次第でした。
けっこう緊張しながら、
(どきどきどき)
雑木林を抜けて、そのまま沢に出ます。
川べりにいた4人が、私の存在に気づいたようでした。
私も、人がいることに『ぎょっ』とした感じを出してみせます。
(よしよし、見てるぞ)
散策しているかのように、水辺へと歩いていきました。
ペットボトルのお茶を飲んだりしながら、しばらくひとりで佇んでみせます。
お嬢さんみたいな顔立ちの子・・・
その隣には、ケバケバな化粧の子・・・
そして、派手な茶髪の子・・・
可愛いものでした。
まるで自分たちの不良ぶりをアピールしているかのように・・・
タバコをふかしながら、私のほうをチラチラ見ています。
(なにあれ)
(生意気な中学生じゃあるまいし)
完全に見抜いていました。
本当は、たいして不良でもないくせに・・・
たったひとりの男の子は、見ていて痛々しいぐらいに気弱そうにしています。
(よし)
やってやろうと思いました。
私も、彼女たちのほうに頻繁に目をやります。
何度となく目が合いました。
(来い、来い・・・)
ところが、いつまで経ってもうまくいきません。
『なに見てんだよ』とか言って、あの子たちが絡んでくるのを待っているのに。
(しょうがない)
作戦を変えるしかありませんでした。
思い描いていた作戦(?)は、仕方なく諦めます。
おもむろに立ち上がって、
(どきどきどき)
4人のもとへと歩いていきました。
「ねえ、あなたたち」
いきなり声をかけます。
女の子たちが、警戒した表情で私を見上げました。
いわゆる、ウ〇コ座りの格好のまま・・・
威嚇するように、
「あー?」
生返事をぶつけてきます。
(馬鹿な子たち)
ちっとも怖いとは思いませんでした。
茶髪の子が虚勢を張って、
「なんっすか?」
でも、その声は完全に裏返ってしまっています。
(そんなんだから)
(私みたいな悪い大人に、つけこまれるんだよ)
利用してやるつもりでした。
そう・・・自分でも、わかっています。
いまさら、あらたまって言うようなことではないですが・・・
私は、そういう歪んだところのある人間なのです。
「ねえ、未成年でしょ?」
「タバコなんか吸っていいと思ってんの?」
3人が、思いっきり『うぜー』という顔を向けてきました。
男の子だけは、ちょっとおどおどした目をしています。
「うるせーな」
「関係ねーだろ」
文字どおり、ウザいやつになってやりました。
「私、大学院を出たら先生になろうと思ってるの」
「だから、タバコとか見逃せない」
私には、この容姿があります。
実際よりも、かなり若く見えているはずのこの外見・・・
そして、
「ねえ、だいたい今日、学校は?」
「こんなとこにいないで、早く行きなさいよ」
気づかせてやりました。
タバコのことを注意しているように見せかけて・・・
このウザい女は、『自分たちを追い払おうとしている』のだということを。
(いい感じ)
馬鹿な女を演じていました。
正義感ぶった物言いで、女の子たちをイライラさせてやります。
「あなたたち、もう帰りなさい」
「学校あるんでしょ!?」
正論をふりかざす、美人の『大学院生』になりきっていました。
「うるせーよ」
もちろん、彼女たちが素直に聞くはずがありません。
ひとりぷりぷりした様子で、もとの場所のほうへ戻ってみせる私・・・
(どきどきどき)
ここまでは100点です。
われながら完璧でした。
ずいぶん危ないことをしていると思われるかもしれませんが・・・
実際には、それほどでもありません。
文章だとうまく伝えることができませんが、けっこう容易な相手でした。
適当な岩に腰かけて、ペットボトルのお茶を飲みます。
いかにも時間をつぶしているという雰囲気を醸し出してやりました。
何度もチラチラとそちらを見て、彼女たちの存在を気にしているふりをしてみせます。
そのまま10分ぐらい粘りました。
女の子たちは、相変わらずタバコをふかしています。
(あの男の子だけは)
(きっと喜んでくれるはず)
しびれを切らしたふりをしました。
立ち上がって、川べりを上流側へと歩いていきます。
4人の前を通りすぎながら・・・
軽蔑をこめたような目で、すっと女の子たちのことを一瞥してみせました。
(完璧だ)
茶髪の子が、反抗的な目を向けてきています。
ケバケバの子も同様でした。
だんだんと川べりの幅が狭くなってきて、ごつごつした岩場になってきます。
少しだけ息を切らしつつ、
「はあ、はあ・・・」
なおも、上流側へと向かいました。
(懐かしい)
もう、『大岩』がそこに見えてきています。
ちょっと登るような感じになって、岩と岩とのあいだを渡っていきました。
そして、
「はあ、はあ・・・」
その大岩の裏側のスペースに回り込みます。
まるでカタカナの『コ』の字のようなかたちで・・・
三方を岩に囲まれているこのスペース・・・
私にとっては、まさに思い出の場所でした。
でも、そんな感慨にひたっている時間はありません。
(早く)
川上側への壁になってくれている『低岩』の向こう側を確認しました。
ちょうどいい、岩と岩とのあいだがあります。
トートバッグの中から、急いでシャツとジーンズを取り出して・・・
その隙間の部分に隠しました。
続けて、トートの中からレジャーシートを出します。
『コの字』スペースの中央に広げて、その上に重ねるようにスポーツタオルも敷きました。
(どきどきどき)
素早くスカートを下ろします。
チュニックを脱いで、ブラも外しました。
簡単にたたんで、あの子たちが容易に奪える場所に『わざと』まとめて置きます。
(ああん)
胸が高鳴りました。
ソックスとスニーカーも脱いで、もう身につけているのはパンツ1枚だけです。
頭の中で、完全に新しい作戦ができあがっていました。
(あとはイメージどおりに)
(あの子たちの注意を向けさせるだけ)
その流れまでも、もう思い描くことができています。
(どきどきどき)
『大岩』と、隣の『青岩』のわずかな隙間から・・・
100mと離れていない、川下にいるあの子たちの様子を窺いました。
(どきどきどきどき)
ちょうど、女の子たちが立ち上がっているのが見えます。
そして、
(あああ、だめか)
間に合いませんでした。
私の思惑とは逆に、向こうのほうに歩いていってしまう4人・・・
そのまま細道へと消えていきます。
(なんだよ・・・)
なす術もなく、じっと見送ることしかできませんでした。
思い描いていたイメージが、すべて崩れ落ちていってしまいます。
(あーあ)
(うまくいかないもんだな)
われながら、完璧に流れを掴みかけていたのに。
パンツの中に手を突っ込んでいました。
レジャーシートの上に仰向けになって、青く澄み渡った空を見上げます。
昂ぶりきった欲求を、ひとりで虚しく発散する私でした。
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